愛するふるさと

愛するふるさと

「愛するふるさと」は、東京都板橋区が制定した区民愛唱歌です。この曲は、作詞を薩摩忠、作曲を山本直純が手掛けており、地域住民にとって特別な意味を持つ楽曲となっています。

この愛唱歌は、1932年に板橋区が設立された際の区制50周年を記念して、1982年に正式に制定されました。当時、同じように区制50周年を迎えた他の区、例えば足立区や杉並区でも、区歌の制定が行われたことがあったため、板橋区でもその流れに乗った形となりました。板橋区の竣工と発展の歴史を祝う楽曲として、多くの人々に親しまれています。

「愛するふるさと」の作詞と作曲は、懸賞募集のような公募によらず、専業の作家である薩摩忠と山本直純に依頼され制作されました。彼らのバックグラウンドや専門知識が反映され、高いクオリティの楽曲が生まれたことがこの愛唱歌の特徴です。

制定時には、ポリドールという音楽会社が板橋区混声合唱団などの協力を受け、シングル盤を製造しました。このシングルは現在も地域の誇りとして残っています。ただし、区役所の例規集では、区の公式な区歌としての位置づけはされていません。具体的には、区歌としての制定告示は存在せず、「愛するふるさと」は「愛唱歌」として位置づけられているものの、実際主としては区歌と同様の扱いを受けています。

この曲が広く知られている一因として、「愛するふるさと」が区民体操「ふるさといたばし体操」のBGMとして使用されていることが挙げられます。この体操は地域の健康づくりを目的としたものであり、愛唱歌が住民の一体感を育む役割も果たしています。

また、板橋区の文化・国際交流財団が管理する板橋区立文化会館では、「愛するふるさと」に加え、1968年に制作された区民音頭「板橋音頭」や、行進曲バージョンとカップリングされたCDが販売されています。このことからも、愛唱歌が地域文化の一部として大切にされていることがわかります。

ただし、区の公式ウェブサイトには「愛するふるさと」に関する詳細な情報は掲載されていないため、地域住民やこの曲に興味を持つ人々にとっては、より深く知る機会が限られているのが現状です。そして、2012年発行の『全国 都道府県の歌・市の歌』にも含まれていないことから、その認知度は限定的であると言えます。しかし、地元の祭りやイベントなどでは、今なお多くの人々がこの曲を歌い上げ、地域の絆を感じ合っていることでしょう。

「愛するふるさと」は、板橋区の歴史や地域愛を象徴する楽曲として、今後も長く語り継がれることでしょう。

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