愛するアニタ

「愛するアニタ」（あいするアニタ）は、日本のグループサウンズを代表するバンドの一つ、ザ・ワイルドワンズが1968年1月10日にシングル盤としてリリースした楽曲です。

この楽曲は、作詞を山上路夫氏が、作曲を加瀬邦彦氏が手がけています。ザ・ワイルドワンズの多くの楽曲でメインボーカルを務める加瀬邦彦ではなく、通常ドラムスを担当している植田芳暁がこの曲のリードボーカルを務めた点が大きな特徴です。このシングルは発売後、当時の人気音楽チャートであったオリコンで最高位7位を記録し、ザ・ワイルドワンズのヒット曲の一つとして数えられています。

このシングルの制作時期には、グループに新たなメンバーとして渡辺茂樹が加わっており、彼はこの楽曲でオルガン演奏を担当しました。ただし、当時のシングル盤のレコードジャケットには、他のメンバーと共に渡辺の姿が写っているわけではありません。

興味深いことに、この楽曲は当初、同じ時期に絶大な人気を誇っていたグループサウンズのバンド、ザ・タイガースによってシングルとして発表される計画がありました。ザ・タイガースは「可愛いアニタ」というタイトルでこの曲を扱うことを考えており、彼らの代表曲の一つである「モナリザの微笑」の録音からわずか数日後の1967年7月7日には、実際にタイガース版の録音も行われています。

しかし、このタイガース版「可愛いアニタ」は、当時のシングル盤として世に出ることはありませんでした。長い間未発表の音源となっていましたが、時を経て1990年に発売されたザ・タイガースの10枚組CDボックスセット『ザ・タイガース / PERFECT CD BOX』に収められたアルバム『レジェンド・オブ・ザ・タイガース』の中で、初めて公式に発表されることとなりました。

ザ・ワイルドワンズのシングル盤には、「愛するアニタ」がA面に、そしてB面には「幸せの道」が収録されていました。B面の「幸せの道」は、作詞をなかにし礼氏、作曲を加瀬邦彦氏が手がけています。

また、後年になって他のアーティストによるカバーも生まれています。同じくグループサウンズ期に活躍したザ・テンプターズは、この楽曲をカバーしており、その音源はテンプターズ結成50周年を記念して2015年にリリースされたアルバム『ザ・テンプターズ ツイン・デラックス -THE 50H ANNIVERSARY OF THE TEMPTERS-』に収録されています。このように、「愛するアニタ」は、複数のグループサウンズアーティストによって演奏された歴史を持つ楽曲と言えます。

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