愛と死の砂時計

愛と死の砂時計

『愛と死の砂時計』は、和田慎二氏によって1973年に『別冊マーガレット』で発表された漫画作品です。作者の代表的なキャラクターである神恭一郎のデビュー作としても知られています。

概要

物語は、女子高生の雪室杳子が、担任教師であり婚約者である保本登が殺人罪で死刑判決を受けたことから始まります。杳子は、親友の紅崎麻矢やクラスメイトと共に、保本の無実を証明するために奔走します。しかし、事件の真相に近づくにつれて、彼女たちを次々と悲劇が襲います。

作者によると、当初は犯人を推理するタイプのミステリー作品として構想されていましたが、編集者のアドバイスを受け、物語の途中で犯人を明かし、その犯行の手口を暴いていく倒叙形式に変更されました。この手法が、作者のミステリー作品における主流となっていったとのことです。作品の着想は、コーネル・ウールリッチの小説『幻の女』から得ています。

神恭一郎は、逮捕前には犯人を特定するような言動をしながら、逮捕後には一転して被疑者の無実を信じるような態度を取るという、一貫性のないキャラクターとして描かれています。

あらすじ

雪室杳子は、恋人である教師・保本登との結婚を間近に控えていました。しかし、結婚式の直前、二人の結婚に反対していた学園長が殺害され、保本が容疑者として逮捕されてしまいます。私立探偵の神恭一郎は、状況証拠から保本を犯人と断定し、逮捕に協力します。そして、保本は死刑判決を受けることになります。

早すぎる判決に疑問を抱いた神恭一郎と、保本の無実を信じる杳子は、真犯人を突き止めるために行動を開始します。しかし、証人となる人物が次々と殺害され、捜査は困難を極めます。用務員は撲殺され、T海岸のオーナーは水族館の魚に貪り食われるという、凄惨な状況でした。

死刑執行の日、杳子と神は、真犯人を誘き出すための罠を仕掛けます。そして、明らかになった真犯人とは、杳子の親友である麻矢でした。麻矢は、学園長の過去の秘密を知り、現在の生活を失うことを恐れたために、学園長を殺害したのです。さらに、保本が学園長殺害の容疑者として逮捕されるよう仕向け、杳子を苦しめようとしました。

事件解決後、保本の無実は証明されます。また、事件の背後には、紫の服を着た少女の自殺未遂事件が関係していることが明らかになります。この少女は、複雑な家庭環境に苦しんでおり、保本に救いを求めていたのでした。

麻矢もまた、実の祖母によって運命を狂わされた被害者であり、殺人を重ねざるを得なかった悲劇的な人物として描かれています。

書籍情報

愛と死の砂時計 (マーガレット・コミックス、集英社)
銀色の髪の亜里沙 (STコミックス、大都社)
* 和田慎二傑作選 砂時計は血の匂い (書籍扱いコミックス、秋田書店)

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