愛国生命保険

愛国生命保険株式会社

愛国生命保険株式会社は、明治時代に設立された生命保険会社であり、1897年2月に開業しました。しかし、1945年3月28日に日本[[生命保険]]に吸収される形でその歴史を終えました。

設立経緯

その設立には、当時社会問題となっていた菓子税が深く関わっています。1885年（明治18年）7月、菓子に対する間接税である菓子税が法律として成立したことで、多くの菓子商が職を失い、全国で100人以上の自殺者が出るという悲劇が起こりました。当時大阪で菓子商を営んでいた中野実は、全国の菓子製造・販売業者29万人をまとめ、同盟を結成して税の撤廃を求めましたが、1889年に菓子税は発布されてしまいます。

この状況を見かねた鈴木万次郎は、議場で政府への激しい攻撃を続け、その結果、1896年に菓子税の廃止が実現しました。この出来事を記念し、菓子商団体は菓子業者の相互扶助を目的とした生命保険会社を設立することを決定しました。社長には鈴木万次郎、専務には中野実が就任しました。

鈴木は、伝染病に苦しむ巡査、医師、区吏らが政府から十分な保護を受けられていない状況を憂慮し、菓子業者の生命保険と並行して伝染病保険も運営することを決定し、1897年2月に愛国生命保険株式会社が発足しました。取締役には肥塚竜、朝山義六（医師）、宮本仲（医師）らが名を連ね、発起人には高木兼寛、長谷川泰、北里柴三郎、後藤新平といった著名人が名を連ねました。

その後、1924年7月には、第百銀行頭取の原邦造（原六郎の娘婿）一派による買収が行われ、旧幹部は一掃されました。原が社長に、曄道文芸が専務に就任し、新たな体制が築かれました。1932年には東華生命保険を吸収し、事業を拡大しましたが、1945年3月28日には日本生命に吸収されることとなりました。

商標

愛国生命保険の商標は、愛のシンボルともいえる八咫鏡の中に「愛」の一文字を組み合わせたものでした。

本社ビル

日比谷公園前にあった愛国生命保険本社ビルは、河合浩蔵の設計によるもので、1912年に竣工しました。ルネサンス様式を取り入れた美しい建物であり、コンクリートブロックを使用したものとしては日本最初期の建物の一つでした。

愛国生命保険は、その設立経緯から社会貢献を重視する企業であり、日本の保険業界の発展に貢献しました。しかし、時代の流れの中で日本生命に吸収され、その名前は歴史の中に埋もれることとなりました。

脚注

愛国生命保険株式会社は、菓子税撤廃という歴史的な出来事を背景に設立された。
鈴木万次郎や中野実など、設立に関わった人々の尽力により、日本の保険業界の発展に貢献した。
* 日比谷公園前にあった本社ビルは、ルネサンス様式を取り入れた美しい建物であった。

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