愛媛果試第28号

紅まどんな：愛媛発、高級柑橘の物語

愛媛県で生まれた「紅まどんな」は、その希少性と高い品質から、高級柑橘として高い人気を誇ります。ミカン科の常緑樹である紅まどんなは、農林水産研究所による「南香」と「天草」の交配から誕生しました。2005年の品種登録、2007年の商標登録を経て、愛媛県を代表する柑橘へと成長を遂げました。

厳選された品質

紅まどんなのブランドを守るため、出荷前には厳しい選別が行われます。外観、着色、形状はもちろん、光センサーによる糖度測定もクリアしなければなりません。糖度や外観に問題があるものは、「愛媛まどんな」「媛まどんな」など、異なる名称で販売されます。この徹底した品質管理が、紅まどんなの高い評価を支えています。

特徴的な果実

紅まどんなは、12月から翌年1月にかけて収穫されます。一般的な中晩柑類とは異なり、年内出荷が中心です。果実は約250グラムと程よい大きさで、濃いオレンジ色の薄皮に包まれています。カットフルーツとしても人気があり、その理由は、柔らかく多汁質な果肉にあります。薄くて柔らかいじょうのうは、まるでゼリーのような食感で、種子の数は少ないのが特徴です。糖度は12度と高く、芳醇な香りが口いっぱいに広がります。

生産における課題と工夫

紅まどんなの生産においては、果梗部周辺に亀裂が入る「クラッキング」という現象が課題となっています。これは主に降雨によるもので、対策として雨よけ栽培が推奨されています。生産効率の向上と品質維持のため、栽培技術の改良は常に続けられています。2019年の収穫量は4,127.7トンで、そのすべてが愛媛県産です。

ブランド戦略と今後の展望

紅まどんなのブランド戦略は、他の柑橘にも影響を与えています。愛媛県では、紅まどんなと甘平をかけ合わせた新品種「紅ぷりんせす」も発表されましたが、紅まどんなのような厳しい選別基準を適用するかどうかは検討段階です。これは、選別基準が甘かった甘平において、品質のばらつきが価格低下を招いたという経験を踏まえたものです。

海を越えた紅まどんな

紅まどんなの人気を背景に、韓国や中国でも栽培が行われています。韓国では「黄金香」の名称で、中国では「紅美人」として高級柑橘として流通しています。韓国では2000年代初頭に種苗が流出し、2018年には栽培面積353ヘクタール、生産量3,711トンに達しました。中国では浙江省を拠点に栽培が広がり、現在は複数の省で生産されています。このように、紅まどんなは愛媛県のみならず、世界中でその魅力を伝えています。

結論

紅まどんなは、その高い品質と希少性から、国内外で高い評価を得ている高級柑橘です。生産における課題やブランド戦略など、様々な側面を考慮することで、紅まどんなの未来はさらに広がりを見せるでしょう。今後も愛媛県を代表する柑橘として、その存在感を示し続けることは間違いありません。

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