愛宕下切通上古墳

愛宕下切通上古墳

愛宕下切通上古墳は、宮城県仙台市太白区越路に位置していた古墳で、20世紀前半に破壊されました。その場所は愛宕橋から大窪谷地へと向かう切り通しの東南側に所在したとされていますが、当時の地形から現在の位置を特定するのは困難です。

1930年以前に松本彦七郎によって行われた観察によると、この古墳は直径約10メートル、高さ約2メートルの円墳でした。古墳の東南側と西北側は削られていて、その西北側の断面では内部に大きな石が整然と配置されている様子が観察されました。この配置された石は『石郭』であると推定されています。

松本は、土の中から発見した土器の破片4つと石器1つを採取しました。その中の2つは渦巻き模様が施され、別の1つは粗い縄文とゆるいカーブを持つ凸線が見受けられました。最後の1つには明瞭な縄文が確認されましたが、これらは縄文時代の大木式土器と考えられています。また、見つかった石器は打製の硅石製で、先端部分が欠けていたものです。その長さはおおよそ63ミリメートルで、先端を補うと推定約75ミリメートルに達するとされています。

このように、古墳の土から縄文時代の遺物が発見されたことは、古墳が遺物を含む土で構成されていたことを示唆しています。

愛宕下切通上古墳は、1950年までに無事な姿を保つことなく完全に崩壊し、消滅してしまいました。時代の移り変わりとともに、数多くの情報が失われ、これによって古代の文化や歴史についての洞察も途絶えてしまったかもしれません。現在、その遺構は存在しませんが、松本彦七郎による研究や観察は、その重要性を後世に伝える貴重な資料となっています。

当時の研究に基づく情報は、今後の考古学的な調査においても多いに役立つでしょう。愛宕下切通上古墳の遺物は、縄文時代の人々の生活や文化を理解するうえでの貴重な手掛かりとなります。

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脚注

• - 松本彦七郎「仙台市大窪谷地愛宕下切通古墳出土石器時代遺物」、『人類学雑誌』第45巻第1号、1930年。
• - 松本彦七郎「陸前平野区域の古墳」、『東北帝国大学理学部地質学古生物学教室研究邦文報告』第9号、1930年。
• - 伊東信雄「仙台市内の古代遺跡」、仙台市編纂委員会・編『仙台市史』第3巻（別篇1）、仙台市役所、1950年。

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