愛燦燦 (美空ひばりの曲)

愛燦燦（あいさんさん）

「愛燦燦」は、1986年5月29日にリリースされた美空ひばりのシングルであり、この曲は彼女のキャリアにおいて重要な位置を占める作品となっています。この楽曲の作詞・作曲を手掛けたのは、シンガーソングライターの小椋佳です。本楽曲は「家族愛」をテーマに掲げられており、当初はハワイで撮影された味の素のCM映像に合わせて制作されました。若き映像プロデューサーの岩上昭彦が、CMのバックミュージックをひばりに歌わせたいとの希望を持っていたことが、この曲の誕生のきっかけとなったのです。

岩上はCMソングの作成にあたり、小椋を起用することを決め、本来考えていた他のホリプロの歌手とは異なり、ひばりが「家族愛」というテーマに最もふさわしいと感じていたため、彼女にオファーしました。これに対し、当時すでに「歌謡界の女王」として名を馳せていたひばりはその依頼を快諾し、結果として本楽曲が完成したのです。

もとも小椋が最初に作ったのは「轍（わだち）」という軽快なテンポの曲でしたが、コロムビアの担当者や広告主の味の素が求める「包容力」を考慮し、制作の方向性が変更され、「愛燦燦」の制作が始まりました。この曲名も、明るい陽射しの中で農家の主婦が描かれるCM映像から着想されたもので、「燦々」という言葉がテーマとなったことに由来しています。

最初はCMのクレジットに名前が表示されない「覆面シンガー」として扱われていたひばりでしたが、その声質により正体がすぐに理解され、公開後には映像内でクレジットされるようになりました。これにより、「愛燦燦」はCMとしてだけでなく、ひばりの素晴らしい歌唱力を証明する楽曲としても評価されました。

1989年末にひばりが亡くなると、彼女の親友であった雪村いづみが『第40回NHK紅白歌合戦』で彼女への追悼として「愛燦燦」を披露しました。また、2007年の『第58回NHK紅白歌合戦』では、小椋佳がひばりの映像とのデュエットを行い、その存在感を再確認させる場面も見られました。

「愛燦燦」のリリースは、実はひばりの49歳の誕生日であり、1986年は彼女のデビュー40周年という記念すべき年でもありました。当初の売上には恵まれなかったものの、その後は次第にロングヒットとなり、2019年にはひばりのシングル売上で歴代12位に入るという成果を残しました。ひばりの遺作「川の流れのように」と共に、テレビやラジオで多く取り上げられることとなり、様々なアーティストによってカバーされ続けています。そのため、ひばりの死後も「愛燦燦」はすべての世代に親しまれる代表的な楽曲となりました。

収録曲

オリジナル盤

• - 愛燦燦

作詞・作曲：小椋佳, 編曲：若草恵

• - 太鼓

作詞・作曲：小椋佳, 編曲：若草恵

1991年再発売盤

• - 愛燦燦

作詞・作曲：小椋佳, 編曲：若草恵

• - 津軽のふるさと

作詞・作曲・編曲：米山正夫

このように「愛燦燦」は、美空ひばりの名声を確立させ、今なお多くのファンの心を暖かくする楽曲として残り続けています。

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