愛知県立豊橋聾学校

愛知県立豊橋聾学校

愛知県立豊橋聾学校（あいちけんりつとよはしろうがっこう）は、愛知県豊橋市に所在する公立の特別支援学校です。聴覚に障害のある幼児児童生徒に対し、それぞれの発達段階に応じた専門的な教育を行っています。

沿革

本校は、100年以上の歴史を持つ伝統ある学校です。その始まりは明治時代に遡ります。

1898年（明治31年）、愛知県宝飯郡塩津村（現在の蒲郡市にあたります）に、私立の「拾石訓唖義塾」として創設されました。これは、当時の社会情勢において、聴覚障害のある人々の教育に取り組む先駆的な試みでした。

その後、1900年（明治33年）には、私立豊橋訓盲院との統合を経て、豊橋市内に新たな学校として「私立豊橋盲唖学校」が開設されました。これにより、視覚・聴覚の両方に障害のある子どもたちへの教育が一体的に行われることとなりました。

第二次世界大戦末期の1945年（昭和20年）、学校の運営は愛知県へと移管され、県立の盲唖学校となります。公的な教育機関としての性格を強め、より安定した基盤のもとで教育が行われるようになりました。

戦後の教育制度改革が進む中で、聴覚障害教育と視覚障害教育の専門性の違いに基づき、学校の分離が行われました。1948年（昭和23年）に、盲聾分離が実施され、現在の校名である「愛知県立豊橋聾学校」として独立した教育機関となりました。以来、一貫して聴覚障害教育を専門に行う学校として、地域の教育を支えています。

教育内容

本校では、聴覚に障害のある子どもたちの多様なニーズに応えるため、以下の学部を設置しています。

幼稚部: 早期からの教育を通じて、コミュニケーション能力や社会性の基礎を育みます。
小学部: 基礎学力の定着を図るとともに、聴覚活用や手話などのコミュニケーション手段を学び、自己表現力を養います。
中学部: より専門的な学習内容に進み、将来の進路を見据えた学習や集団生活を通じた社会性の育成を行います。
高等部: 普通科に準じた教科や、個々の進路希望に応じた専門的な学習を行い、卒業後の自立と社会参加を目指します。

各学部において、個別の教育計画（IEP）に基づき、一人ひとりの能力や興味、進路に応じたきめ細やかな指導が行われています。コミュニケーション手段についても、手話、口話、筆談、補聴器や人工内耳の活用など、生徒に最適な方法が選択・併用されています。

校訓

学校の教育活動の根幹となる校訓は、「ことば豊かに 強く 明るく」です。この言葉には、コミュニケーション能力を高め、自立心を持って困難に立ち向かう強さ、そして希望を持って前向きに生きる明るさを持つ人間を育むという、学校の願いが込められています。

所在地・アクセス

本校は愛知県豊橋市草間町平東100に位置しています。交通アクセスとしては、豊橋駅からのアクセスが便利です。

JR・名鉄 豊橋駅で下車
豊橋鉄道渥美線に乗り換え、南栄駅で下車

南栄駅からは徒歩圏内にあり、比較的容易に来校することができます。

主な出身者

本校の卒業生には、様々な分野で活躍している方がいます。その一人に、映画監督の今村彩子氏がいます。今村氏は本校高等部を卒業後、映像の世界に進み、聴覚障害者の視点から社会を描く作品などを制作し、国内外で高い評価を得ています。

関連事項

愛知県内の特別支援教育に関する情報としては、愛知県特別支援学校一覧や、他の県立特別支援学校である愛知県立豊橋特別支援学校などが関連します。また、本校のより詳細な情報や最新の活動については、公式サイトをご覧ください。

愛知県立豊橋聾学校は、長年にわたり聴覚障害教育の拠点として、多くの卒業生を社会に送り出してきました。これからも、校訓のもと、子どもたちが豊かなコミュニケーション能力とたくましく生きる力を身につけ、明るい未来を切り拓いていけるよう、教育活動を続けていきます。

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