感情焦点化療法

感情焦点化療法（EFT）は、比較的短期的な心理療法アプローチとして注目を集めています。通常、8～20回のセッションで構成され、個人、カップル、家族など幅広い対象へと適用可能です。その特徴は、クライアントの感情体験に深く焦点を当て、感情の理解と変化を促す点にあります。

EFTは、ゲシュタルト療法、来談者中心療法、そして愛着理論といった複数の心理療法のアプローチを統合した、統合的なアプローチであると言えるでしょう。ゲシュタルト療法から、クライアント自身の身体感覚や感情表現への意識を高める要素を取り入れています。来談者中心療法からは、クライアントの自己受容と自己決定を尊重する姿勢を重視しています。そして、愛着理論からは、人間関係における愛着スタイルやその影響について理解を深める視点を提供しています。

EFTの具体的なプロセスは、まずクライアントの感情を丁寧に探ることから始まります。セラピストは、クライアントが抱える問題や症状の背景にある感情を明らかにするために、共感的で受容的な姿勢で傾聴します。クライアントの言葉だけでなく、非言語的な表現にも注意を払い、感情のニュアンスを捉えることを重視します。

感情が特定されると、クライアントはその感情をより深く体験し、理解するためのエクササイズを行います。例えば、感情を身体感覚として感じ取る練習や、感情を言葉で表現する練習などを通して、クライアントは自分の感情をコントロールし、より健康的な感情表現を身につけることを目指します。

EFTでは、人間関係における感情のダイナミクスにも注目します。特にカップル療法では、パートナー間の相互作用における感情パターンを分析し、関係改善のための具体的な戦略を立てます。例えば、否定的な感情循環を断ち切り、より肯定的な相互作用を促すための具体的な方法を学ぶことができます。

EFTは、うつ病、不安障害、トラウマ、人間関係の問題など、様々な精神的問題への有効性が示唆されています。しかし、全てのクライアントに効果があるとは限らないため、適切な治療法を選択するには、専門家の意見を仰ぐことが重要です。

EFTは、短期間で効果を実感できる可能性がある一方で、クライアント自身の積極的な参加と努力が求められる療法です。セラピストとの信頼関係を築き、積極的にセッションに参加することで、より良い治療効果が期待できます。

最後に、EFTに関する更なる情報は、カナダのヨーク大学にあるEmotion-Focused Therapy Clinicや、International Centre for Excellence in Emotionally Focused Therapy (ICEEFT) のウェブサイトなどを参照することで得られます。これらの機関は、EFTの研究や教育、そして臨床実践において重要な役割を担っています。

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