感染症サーベイランス

感染症サーベイランスの概要

感染症サーベイランスは、感染症の発生状況を調査・集計し、これを基に感染症の予防や管理に役立てるためのシステムです。1981年から日本で本格的に導入され、以降、感染症の流行状況や予防対策についてのデータ収集が行われています。このシステムは、感染症の蔓延を防ぐために重要な役割を果たしており、広範な研究や分析を通じて、国民の健康を守ることを目的としています。

日本のサーベイランスシステム

日本においては、感染症サーベイランスはさまざまな機関によって推進されています。主な調査機関には、国立感染症研究所の感染症情報センター、地方衛生研究所、保健所が含まれます。これらの機関は、情報の収集、分析、報告を行う役割を担っています。

情報収集の方法

感染症の流行を把握するためには、正確な情報収集が欠かせません。具体的な方法として以下の3つがあります。

1. 疾病サーベイランス：これは感染症発生動向調査とも呼ばれます。指定された1類・2類感染症について詳細に監視します。
2. 全数把握：1類から4類の感染症や侵襲性髄膜炎菌感染症、風しん、麻しんについて、氏名や年齢、性別などの個人情報を含めて速やかに報告が求められます。その他の指定疾患については、個人情報を保護しつつ、7日以内に医療機関から報告が必要です。
3. 定点把握：特定の調査拠点を設け、小児科やインフルエンザ診療所などから情報を収集します。これらの情報は週単位または月単位で保健所を経由して都道府県知事に提出されます。

また、病原体サーベイランスも実施され、病原体に関する情報が収集されています。

調査報告の種類

収集した情報は、保健所や地方衛生研究所、検疫所のネットワークを通じて分析された後、公表される必要があります。主要な公表方法には以下があります。

1. IDWR（感染症週報）：感染症新法に基づいて、指定された感染症の集計が行われます。
2. IASR（病原微生物検出情報 月報）：最新の病原体の検出状況が報告されます。
3. NESVPD（感染症流行予測調査）：集団免疫の状態を把握し、予防接種事業に関する効率的な運用を図るための調査です。

世界のサーベイランスシステム

国際的な感染症サーベイランスシステムでは、世界保健機関（WHO）やアメリカ疾病予防管理センター（CDC）などと連携し、情報のネットワークが構築されています。しかし、このシステムは各国の公的機関からの報告に依存しているため、情報の速さや正確性に影響を受けやすいという欠点があります。

関連項目

感染症に関する研究や管理は非常に重要であり、これらのサーベイランス活動は国民の健康維持に寄与しています。感染症法に基づくサーベイランスや感染拡大防止のための取り組みは、今後もますます重要になっていくことでしょう。

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