感染症流行対策イノベーション連合

感染症流行対策イノベーション連合（CEPI）とは

感染症流行対策イノベーション連合、通称CEPI（Coalition for Epidemic Preparedness Innovations）は、2017年1月のダボス会議で設立された国際的な官民連携パートナーシップです。この組織は、世界中の国々におけるワクチン開発の促進を目的としており、特にエボラ出血熱など、危険な感染症の発生リスクがある国々を対象にしています。

CEPIの目的と背景

CEPIは、普段は需要が低いものの、将来的に大きな感染症の流行を引き起こす可能性がある病気に対するワクチンの開発を加速させることを目指しています。設立当初から、特に低中所得国へのワクチンのアクセスを確保し、その価格を手頃に保つことも重要な使命としています。これにより、全世界の人々が公平にワクチンを受けられるようにすることが狙いです。

主な加盟国としては、日本、ノルウェー、ドイツ、英国、オーストラリア、カナダ、ベルギーがあり、ビル＆メリンダ・ゲイツ財団やウェルカム・トラストといった国際的な財団もサポートしています。

新型コロナウイルスワクチンの開発

特に目を引くのが、COVID-19ワクチンの開発プロジェクトです。CEPIは、米国のイノビオ・ファーマシューティカルズ、オーストラリアのクイーンズランド大学、米国のモデルナとアメリカ国立アレルギー・感染症研究所（NIAID）、ドイツのキュアバックなどとの提携を結んでいます。これらのパートナーシップにより、すばやく効果的なワクチンの開発が進められています。

資金調達の仕組み

CEPIの初期の資金調達は、設立時に発表された5年間の約束から成り立っています。その額は4億6,000万米ドルに達し、日本、ノルウェー、ドイツなどからの集中的な支援がありました。さらに、ゲイツ財団やウェルカム・トラストからもそれぞれ1億米ドルの寄付を受けるなど、国際的なサポートを受けています。このような多様な資金源を通じて、CEPIは2022年1月までに10億米ドルの資金を目指しています。

資金調達方式としては、「ワクチン債」が用いられ、ノルウェーなどの国々の財政的なコミットメントをフロントロードする形で、迅速な資金を確保しています。さらに、EUの「Horizon 2020」プログラムからの資金提供も受けており、その額は約2億米ドルに達しています。

CEPIの影響と未来

CEPIは、先進的な研究開発企業と大手製薬企業を結びつけ、高い効率性でワクチンの開発を推進しています。国際的な協力により、ワクチンの承認プロセスを合理化し、製品化までの期間を短縮する努力も行っています。これにより、将来的な感染症の脅威に備え、迅速に対応できる体制を整えています。

2020年3月には、英国政府が特にCOVID-19対策のためにCEPIに対して2億1,000万ポンドを提供。こうした連携はCEPIが国際的な感染症対策において重要な役割を果たしていることを示しています。CEPIは、今後も感染症の未来への備えとして、その活動をさらに拡大していくことが期待されています。

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