ウェルカム・トラスト

ウェルカム・トラストについて

ウェルカム・トラスト（The Wellcome Trust）は、ロンドンにある国際的な医療研究の財団であり、その活動は主に人間と動物の健康を向上させることに焦点を当てています。この財団は1936年に設立され、その資金はアメリカの製薬企業から得た富を元に運営されています。特に、設立者であるサー・ヘンリー・ウェルカムの遺産が重要な役割を果たしています。

取り組むべき課題

近年、ウェルカム・トラストは特に重視している3つの大きなテーマとして、メンタルヘルス、感染症、気候変動を挙げています。これらの課題に対する研究支援を通じて、社会全体の健康に寄与することを目指しています。

財団の歴史と役割

ウェルカム・トラストは、生物医学研究に年間4億ポンド以上を投資し、これは主に健康や病気に関する理解を深めるために利用されています。この研究資金の支援により、サンガー研究所でのヒトゲノム解読や、抗マラリア剤のアーテミシニンの開発、精神疾患に対する認知療法の開拓など、さまざまな重要なプロジェクトが実現しました。

また、ウェルカム・トラストはUKバイオバンクの設立、サイエンス・ミュージアムのウェルカム棟、ダイヤモンド・シンクロトロンの建設なども支援しています。これらの活動は、医療や科学の発展に寄与するだけでなく、一般の人々が科学に対する理解を深めることにもつながっています。

図書館と公共施設

ウェルカム・ビルにあるウェルカム図書館は、医学史に関する貴重なコレクションを保持しており、週のうち6日間一般に開放されています。この図書館は、医学史に関する書籍や写本、写真、フィルム、デジタルアーカイブなどを収蔵しており、研究者や一般の利用者が広くアクセスできる施設となっています。

さらに、2007年には「ウェルカム・コレクション」が新たに開設され、展示場や会議場、ワークショップ、喫茶室などが設けられています。これにより、より多くの人々に現代医学やその歴史について学ぶ機会を提供しています。

製薬業との関係

ウェルカム・トラストは1986年に製薬業からの分離を始め、1995年にグラクソ社に残りの株式を売却しました。この取引により、グラクソ・ウェルカム社が設立されています。これによって、ウェルカム・トラストは製薬業界から完全に独立した慈善団体となり、その資金を研究支援に回すことが可能になりました。

また、近年ではブーツ社の買収に関与するなど、薬の製造や小売業にも再び関与する意向を示しています。

まとめ

ウェルカム・トラストは、医学の進歩を促進し、メンタルヘルスや感染症、気候変動といった重要な課題に取り組むことで、全世界の健康増進に大きく寄与しています。その活動は、医療研究の発展に加えて、一般市民が科学や健康について理解を深めるための多様な取り組みを含んでいます。

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