慶應義塾マンドリンクラブ

慶應義塾マンドリンクラブの歴史

慶應義塾マンドリンクラブは、1910年に田中常彦ら慶應義塾大学の学生有志によって創立されたマンドリンオーケストラです。2010年には創部100周年を迎え、その長い歴史を誇ります。

創立当初、慶應義塾では体育会に続き、文化団体が次々と設立されていました。その流れの中で、田中常彦らの尽力により、マンドリンクラブが誕生しました。創立から2年後の1912年には、横浜バンジョークラブとの合同演奏会を開催。この時、ジョン・ゴーマンのマネジメントを受け、フェリス和英女学校で初の演奏会を開催しました。当初は「KEIO MANDOLIN GUITAR BAND」という名称でしたが、その後「慶應義塾マンドリン倶楽部」という名称が定着しました。

結成後、宮田政夫の指導のもとでクラブは成長を続けました。1929年には、服部正が常任指揮者に就任。服部は、ラジオ体操の作曲家としても知られていますが、マンドリン音楽の可能性を広げるべく、オーケストラ楽曲のマンドリンオーケストラ編曲やミュージカル・ファンタジーへの挑戦など、クラブの発展に大きく貢献しました。戦時中は活動を休止しましたが、戦後、慶應義塾の一貫教育校にもマンドリンクラブが誕生し、大学のマンドリンクラブも1950年代には100名を超える大編成に成長しました。

国内外での演奏活動

慶應義塾マンドリンクラブは、国内外で積極的に演奏活動を行っています。記録に残っているだけでも、1913年から現在まで約380回もの演奏旅行を実施。1963年以降は、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、台湾など海外での演奏も実現しました。特に1983年には、マレーシアのクアラルンプールで、当時の首相夫妻を招いて演奏会を開催。日本とマレーシアの友好関係促進にも貢献しました。1980年代後半から1990年代には部員数が減少した時期もありましたが、2000年代以降は再び100名を超える部員を擁し、安定した活動を続けています。

現在の活動

現在の年間活動としては、5月（または6月）と12月に開催される2回の定期演奏会、8月に早稲田大学マンドリンクラブと合同で開催される「早慶ジョイントマンドリンコンサート」、10月に一貫教育校および大学、OBのマンドリンクラブが一堂に会する「ALL KMC CONCERT」の計4回の演奏会があります。指揮者はクラブOBが務め、現在は久保光司が常任指揮者として活動。12月の定期演奏会には、客演指揮者として小林幸人を迎えています。過去には、服部正の他に小穴雄一も常任指揮者を務めました。

音楽観

慶應義塾マンドリンクラブの選曲は、マンドリンオーケストラのために作曲された曲だけでなく、ヴァイオリンオーケストラのために作曲された曲の編曲も積極的に取り入れています。近年では交響曲もプログラムに取り入れるなど、その挑戦的な姿勢は他のマンドリンオーケストラとは一線を画しています。これは、打楽器や木管楽器などのパートを自前で抱えているからこそできる特徴といえるでしょう。

慶應義塾マンドリンクラブは、100年以上の歴史の中で、常に新しい音楽表現を追求し、マンドリン音楽の可能性を広げてきました。その活動は、今後も続いていくことでしょう。

もう一度検索