憲法発布勅語

大日本帝国憲法と勅語の意義

1889年2月11日、大日本帝国憲法が正式に発布されました。この歴史的な瞬間に、明治天皇から黒田清隆首相に憲法本文が手渡されるとともに、併せて勅語が発布されました。この勅語は、憲法の意義や国家統治の基本的な考え方、そして天皇の役割を明示した重要な文書です。ここでは、この勅語の内容とその背景を詳しく見ていきます。

「三誥」と呼ばれる勅語

勅語は、発布された日とそれに先立つ告文、そして上諭の3つの文書を合わせて「三誥」と称されます。これらは、天皇がどのように国家を統治するかや、国民との関係をどのように築いていくのかを示す根本的な指針となります。

勅語の構成とその大意

第一文段：憲法の発布の宣言

勅語の最初の文段では、憲法の発布が国家の統治を果たすために行われたことが明示されています。これは、天皇の統治権に基づくものであり、憲法がどのようにして成り立ったのかを説明する重要な部分です。明治天皇は、歴代天皇から引き継いだ統治大権を根拠にして、この憲法の発布を宣言しました。

第二文段：君民共治の確認

続く文段では、歴代の天皇が国民と共に統治を行ってきたことが確認されています。君民共治の概念がここで強調されており、国民の協力があってこその統治であることを示しています。これにより、国民が参加する意義が強調され、天皇と国民の関係の重要性が訴えられています。

第三文段：未来への協力の要請

最後の文段では、君民共治の伝統を尊重しつつ、今後も引き続き天皇による統治への協力が求められています。この部分は、国民に対する直接的なメッセージとなっており、国を支えるためには、国民一人一人がその役割を果たすべきであるとの意義を持っています。

憲法発布の根拠と目的

勅語の第一文段には「朕カ祖宗ニ承クルノ大權ニ依リ」と記されており、天皇が歴代天皇から承継した統治大権に基づく憲法の制定が行われたことが示されています。これは、憲法が単なる法律ではなく、国家の根幹を成すものであることを指し示しています。

また、憲法発布の目的についても「國家ノ隆昌ト臣民ノ慶福トヲ以テ中心ノ欣榮トシ」と述べられています。この文言は、天皇にとって最も重要な喜びが国家の発展と国民の幸福であることを意味し、その実現のために憲法が必要であったことが示されているのです。

不磨の大典

「不磨の大典」という表現も重要です。これは、帝国憲法が長年にわたり変更されることのない重要な法律であることを指しています。英訳では「immutable fundamental law」とされ、法律の機能が歴史や社会に根ざしていることを示唆しています。このため、憲法の基本部分は容易に変更されるものではないとされるのです。

まとめ

大日本帝国憲法の勅語は、天皇と国民との関係、統治のあり方、憲法の根本的性質を示す重要な文書です。これを通じて、国民は天皇のもとに統治され、互いに協力して国家を築く重要性が示されています。これは日本の歴史と文化を理解する上で欠かせない要素であり、当時の人々の考え方を知るための貴重な資料です。

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