黒田清隆

黒田清隆について

黒田清隆（くろだ きよたか、1840年11月9日 - 1900年8月23日）は、日本の陸軍軍人であり政治家として知られる人物である。彼は第2代内閣総理大臣を1888年から1889年までの期間に務め、その後も重要なポストを歴任した。彼の陸軍の階級は中将で、従一位の大勲位伯爵としても知られている。また、彼は薩摩藩の出身であり、明治時代の政治と軍事に深く関与していた。

生い立ちと幕末の活動

黒田は薩摩藩士として鹿児島で生まれ、長じて幕末の動乱期に薩長同盟のために活動を行った。特に、戊辰戦争や箱館戦争では新政府側の参謀として重要な役割を果たし、兵士の指揮を執る傍ら開拓使の次官として北海道の開拓に尽力した。明治9年には日朝修好条規を締結するなど外交面でも活躍し、西南戦争にも関与し、熊本城を解囲するなどの功績を挙げた。

開拓使としての活動

黒田は開拓使長官として北海道の開発に貢献したが、樺太や千島の管理を巡る対立も経験した。特に樺太放棄の方針を強く支持し、岩倉遣欧使節団派遣後の政府内での役割が重要視された。彼は樺太アイヌの移住計画にも関与し、開拓事業の基盤を整えるために努力した。ですが、開拓使の廃止に伴う問題も抱えていた。

薩摩閥の重鎮としての地位

黒田は薩摩藩の重鎮として大久保利通の死後、政治的な影響力を拡大した。しかし、開拓使官有物の払い下げ携わったことで批判を浴び、「開拓使官有物払下げ事件」が発生し、彼は辞任に追い込まれる。にもかかわらず、その政治的地位は確固たるもので、実質的な首相選定者としての役割を果たしていた。

総理大臣としての任期

1888年から内閣総理大臣を務めた際には大日本帝国憲法の発表がなされ、彼の名のもとで新たな時代が始まった。しかし、条約交渉の失敗に伴い、翌年には辞任を余儀なくされる。彼の在任中に行われた超然主義の演説は注目され、政府の独立性を訴えた。

晩年と死去

総理大臣職を退いた彼は、明治天皇からの信任を受け元老として政治的な影響力を保ったが、次第に体調が悪化し、1896年には逓信大臣を辞任後、枢密院議長となる。最期は脳出血により亡くなり、その葬儀は旧幕臣の榎本武揚が委員長を務めることとなった。彼の死は、薩摩の人々からは敬遠され、代わりに旧幕臣との親密な関係が強まっていった。

人物評と影響

黒田は政治において強い人心掌握力を持ち、適切な調整能力があった一方、酒乱の性質も持ち合わせていた。彼の言動や行動は多くの議論を呼んだが、その背景には彼の政治家的な側面やその舞台裏があったことが伺える。彼の名言や他人の人物評からも、彼の存在感が如何に際立っていたかが思い起こされる。黒田清隆は、近代日本の重要な刻印を残した政治家であった。

もう一度検索