懐かしい月は新しい月 Vol. 2 〜Rearrange & Remix works〜

サカナクション『懐かしい月は新しい月 Vol. 2』徹底解説

『懐かしい月は新しい月 Vol. 2 〜Rearrange & Remix works〜』は、サカナクションが2023年9月6日にリリースした2枚組コンピレーションアルバムです。前作『懐かしい月は新しい月』から約8年ぶりとなる今作は、バンドの活動休止と再始動という大きな転換期を経て発表されました。本記事では、アルバムの背景、コンセプト、プロモーション、そしてリリースツアーとその映像作品について深く掘り下げていきます。

バンドの停滞と山口一郎の苦悩

2021年、サカナクションは二部構成の音楽プロジェクト『アダプト』と『アプライ』を発表しました。しかし、プロジェクトが進むにつれて、リーダーの山口一郎が体調不良やプレッシャーに悩まされるようになります。他のメンバーもデビュー15周年を迎え、活動ペースを維持することが困難になっていました。

2022年、ツアーの延期や山口の活動休止が発表され、バンドは一時的に活動を停止します。他のメンバーは、山口の復帰を待ちながらも、それぞれの方法で音楽や芸術に触れ、精神的な挫折を防ぐ努力を続けました。特に草刈は、既存楽曲のリアレンジ作業に熱中していたといいます。

再始動への道のり

2022年9月、山口はレギュラー番組に復帰し、徐々に活動を再開します。2023年2月にはイベントに出演し、対面でのイベントに復帰。その後もライブイベントへの出演を重ね、徐々に活動を本格化させていきました。

そして2023年7月、バンドの再始動を告げる作品として、コンピレーションアルバム『懐かしい月は新しい月 Vol. 2』のリリースが発表されました。同時に、山口が一人で全国を回るソロツアーも開催され、ツアー最終日にはサカナクションのメンバー全員によるサプライズライブが行われました。さらに、バンドの完全復活を謳ったアリーナツアーの開催も発表され、ファンを歓喜させました。

アルバムのコンセプト

今作は、前作『懐かしい月は新しい月』の第2弾としてリリースされました。Disc 1にはリアレンジ作品、Disc 2にはリミックス作品が収録されており、それぞれが独立したアルバムとしても配信されています。前作同様に『月の○○』というタイトルが付けられています。

プロモーションとマーケティング

CDの通常盤に加え、Blu-rayやDVDが付属する初回生産限定盤、ファンクラブ会員限定の完全生産限定盤も発売されました。初回生産限定盤と完全生産限定盤には、山口のソロ公演の模様が収録されています。また、完全生産限定盤には、アンダーワールドとのダブルヘッドライン公演で演奏された楽曲のスタジオ音源が収録されています。

山口一郎ソロツアー「懐かしい月は新しい月 "蜃気楼"」

アルバムのリリースと同時に、山口一郎のソロツアーが開催されました。総合演出は田中裕介が担当。ツアー最終日の東京公演はストリーミング配信も行われ、映像作品化もされました。東京公演では、サプライズでサカナクションのメンバー全員が登場し、「新宝島」を演奏。会場を熱狂の渦に巻き込みました。

ツアー開催への脅迫事件

ツアー初日の小樽公演前日、公演中止を求める脅迫メールが届きました。警察や関係各署との協議の結果、警備体制を強化した上で公演は開催されましたが、チケットを持っていながら来場を断念した観客にはチケットの払い戻しが行われました。後に、この脅迫事件に関与した容疑者が逮捕されています。

アートワーク

アートディレクションは田中裕介、デザインは村井達雄が担当。プロモーション映像やデジタル版アルバムのジャケットは、京都の春光院で撮影され、モデルとしてエモン久瑠美が起用されました。

収録内容

Disc 1には、7thアルバム『834.194』リリース後に演奏・発表された音源や、今作のために新たに制作された音源が収録されています。Disc 2には、全曲が今作初収録となるリミックス音源が収録されています。

ライブ映像作品

ツアー最終日の東京公演の模様を収録したライブ映像作品『懐かしい月は新しい月 "蜃気楼"』がリリースされました。完全受注生産限定盤として、バンドのオンラインストアで予約販売されました。ライブ映像に加え、ドキュメンタリー映像やフォトブックも付属しています。

『懐かしい月は新しい月 Vol. 2』は、サカナクションの苦悩と再生、そして新たなスタートを象徴する作品と言えるでしょう。

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