成瀬悟策

成瀬悟策 (なるせ ごさく) - 日本の心理学者

成瀬悟策（1924年6月5日 - 2019年8月3日）は、日本の著名な臨床心理学者であり、臨床心理士として多大な貢献を果たしました。彼は医学博士であり、九州大学の名誉教授で、元々吉備国際大学の教授としても活動していました。また、日本リハビリテイション心理学会の名誉理事長や日本臨床動作学会の名誉会長としても知られ、正四位を受勲した経歴を持ちます。

生い立ちと教育

岐阜県に生まれた成瀬は、東京高等師範学校を経て、1950年には東京文理科大学心理学科を卒業しました。その後、1951年から1953年にかけて同大学の助手を務め、さらに1953年から1962年には東京教育大学で助手・講師として働きました。1962年からは九州大学教育学部の助教授を務め、その後教授昇進を果たします。彼は1988年に日本で初めて臨床心理士資格を取得しました。

学術活動とリーダーシップ

成瀬は1989年から1993年にかけて九州女子大学及び九州女子短期大学の学長を務めたほか、2004年から2009年には吉備国際大学教授として指導的役割を担いました。また、日本心理臨床学会や日本催眠医学心理学会の理事長など、数多くの学術団体でリーダーシップを発揮しました。

研究と受賞歴

成瀬は、日本の心理系催眠研究のパイオニアとして、催眠医学心理学の発展に大きく寄与しました。彼は竹山恒寿や池見酉次郎とともに「日本催眠医学心理学会」を設立し、心理学的な観点から催眠研究を進めました。彼の努力により、多くの優れた弟子が育ち、日本における科学的催眠研究の基盤が築かれました。

彼はいくつかの重要な受賞歴を持っています。1991年には日本心理臨床学会の学会賞、第1回日本催眠医学心理学会賞を受賞したほか、2001年には勲二等瑞宝章を受章しました。さらに、2006年には日本心理学会国際賞、2014年には日本催眠医学心理学会特別功労賞を受賞しています。

体験治療論と動作法

成瀬はまた、「体験治療論」を提唱し、動作法を通じて様々な障害の改善を目指しました。このアプローチは、肢体不自由だけでなく、精神的な疾患の改善も可能にし、さらには健常者の対人的な態度や表情にも良い影響を与えることがあると認識されています。

著作と翻訳

成瀬は多くの著作を残しており、中でも『催眠面接の技術』や『自己コントロール法』などが有名です。また、彼の影響力を広めるために、共編著や翻訳も行っており、1978年には『児童発達の動作学』の訳編も手がけました。

最後に

成瀬悟策は2019年8月3日に95歳で逝去しましたが、彼の業績は日本の臨床心理学において今なお影響を与え続けています。その生涯を通じて、多くの人々を助け、心理学界に名を刻んだ彼の業績は、後世にわたって評価されることでしょう。

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