我が名はネロ

漫画『我が名はネロ』の詳細

『我が名はネロ』は、日本の漫画家安彦良和によって描かれた作品で、文藝春秋の『月刊コミックビンゴ』にて連載されていました。物語は紀元1世紀のローマ帝国を舞台に、皇帝ネロの即位から彼の自殺までの過程を描いています。この作品は、単行本として上下巻が出版されており、文庫版も存在しています。

作品の背景

本作は、ネロの治世の出来事や彼の周囲の人間関係、さらには当時の宗教的背景についても触れています。特に、当時はまだ新興宗教に過ぎなかったキリスト教についても描写され、その対立や葛藤が物語の重要な要素となっています。

連載中の雑誌『コミックビンゴ』は、文藝春秋がコミック市場に進出するために創刊されたものでしたが、予想外の売れ行き不振から短命に終わりました。しかし、作者は描き下ろしを加えた形で単行本を完成させ、物語の結末を見事に描き出しました。最終的に物語はコンパクトにまとめられていますが、ラストに向かうストーリー展開は評価されるポイントとなっています。

あらすじ

物語は、紀元54年にローマ皇帝クラウディウスが死去し、16歳のネロが皇帝に即位するシーンから始まります。ローマの将軍コルブロがゲルマニアで反乱を鎮圧する中、彼は捕らえたゲルマン人を奴隷として凱旋します。その中には爪を研がれた青年、レヌスがいます。彼は剣闘士として注目を集め、高値で買われて「レヌスの狼」と呼ばれます。

ネロはセネカの助けを受けながら治世をスタートさせますが、母后アグリッピーナの干渉に頭を悩ませます。アクテというユダヤ人奴隷に恋をし、結婚を望むネロですが、母は既に先帝の娘オクタヴィアと結婚しているため、反対します。ついには、ネロはブリタニクスを毒殺し、オクタヴィアと離縁する決断に至ります。

ネロはローマの闘技場で「レヌスの狼」の戦いを観戦し、彼を救い出して身辺に置くことになります。しかし、アクテがキリスト教徒であることが判明すると、アグリッピーナとネロの対立は深まります。彼はポッパエアという女性に心を奪われ、母を殺す決意を固めます。

ネロの暗殺計画は失敗に終わりますが、彼はアグリッピーナを殺す手段を講じ、ついに母を手にかけます。このことをきっかけに、ネロの政治は次第に独裁的になり、オリンピアを模した「ネロ祭り」を開催するなどして、自己顕示欲を満たしていきます。

64年、ローマで大火が発生し、ネロはその鎮火と復興を指揮しますが、市民から「ネロが火を放った」との噂が立ち、彼はキリスト教徒への弾圧を開始します。物語は、レムスがアクテを探す様子や、彼がネロへの復讐を考える過程を描写しながら、最終的な彼らの運命に向かって進んでいきます。

混乱の中、ネロの支配に対する不満が高まり、各地で反乱が起こります。レムスは、ネロの末路を見届けるためローマへと向かい、アクテと再会します。しかし、ネロは疲れ果てて潜伏生活を送り、彼の悪夢は続いていきます。最終的に、ネロはどのような結末を迎えるのか、物語はクライマックスを迎えます。

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