戦争に反対する唯一の手段は。-ピチカート・ファイヴのうたとことば-

『戦争に反対する唯一の手段は。-ピチカート・ファイヴのうたとことば-』は、2002年3月31日にリリースされた、ピチカート・ファイヴのトリビュート・アルバムです。このアルバムは、2001年3月31日にピチカート・ファイヴが解散してからちょうど一年後に発売されました。発売元はレディメイド・インターナショナルです。

トリビュート・アルバムと銘打たれていますが、実質的にはピチカート・ファイヴの中心人物であった小西康陽のソロ・プロジェクトであり、さまざまなゲスト・アーティストを招いてのセルフカバー・アルバムという側面が強い作品です。このアルバムのタイトルは、吉田茂の長男で英文学者であった吉田健一のエッセイから引用されています。吉田健一は、戦争に反対する唯一の手段とは、各自の生活を美しくし、それに執着することだと述べています。この言葉が、アルバム全体のテーマを象徴していると言えるでしょう。

このアルバムには、ピチカート・ファイヴの代表曲が、多種多様なアーティストによって新たな解釈でカバーされています。例えば、オリジナル・ラヴによる「美しい星」は、2001年8月28日に渋谷CLUB QUATTROで行われた「TRIAL SESSION」LIVE TOURでのライブ音源が収録されています。また、岸野雄一が「世界は1分間に45回転で廻っている」をカバーするなど、個性的なアーティストが参加しています。

さらに、QYPTHONEが「イッツ・ア・ビューティフル・デイ」、RIP SLYME|RIP_SLYMEが「ノンストップ・トゥ・トーキョー」、デューク・エイセスが「新しい歌」を、それぞれ独自のスタイルで表現しています。水森亜土による「皆笑った」や、南佳孝が歌う「テーブルにひとびんのワイン」、野本かりあによる「野いちご」など、バラエティ豊かな楽曲が収録されています。

曽我部恵一は「メッセージ・ソング」を、コシミハルは「あなたのいない世界で」、夏木マリは「私のすべて」をカバーしています。Hairによる「One Two Three Four Five Six Seven Eight Nine Ten Barbie Dolls」、有近真澄が歌う「戦争は終わった」など、幅広いジャンルのアーティストが参加しているのが特徴です。

Reggae Disco Rockersは「きみみたいにきれいな女の子」を、和田アキ子は「悲しい歌」、キリンジは「陽の当たる大通り」、市川実和子は「マジック・カーペット・ライド」をそれぞれカバーしています。これらの楽曲は、ピチカート・ファイヴの音楽を新たな視点から捉え直す試みとも言えるでしょう。

一部のレコード店では、アルバムタイトルの8cmシングルCDが特典として付属しました（HIRMD-5001）。これは、アルバムのリリースを記念した特別なもので、コレクターズアイテムとしての価値も持っています。このトリビュート・アルバムは、ピチカート・ファイヴの音楽を愛するファンだけでなく、新しい音楽に触れたいと考えているリスナーにとっても、聴き応えのある作品と言えるでしょう。

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