岸野雄一

岸野雄一 - 多才な日本のアーティスト

岸野雄一（きしの ゆういち、1963年1月11日生まれ）は、著述者、音楽家、俳優といった多様な才能を持つ日本のアーティストであり、東京都墨田区押上出身です。彼は日本のエンターテイメント界で数々の顔を持つ人物として知られ、音楽、映画、そして評論活動と幅広い分野で活躍しています。

来歴

岸野の成長は音楽と映画に囲まれた環境で育ったことから始まりました。幼少期に家業のパン屋と喫茶店の影響を受け、1960年代のポップスを愛し、子供は音楽を子守唄のように楽しんでいました。また、小学校時代には音楽や映画に夢中になり、早足で帰宅するほどだったといいます。その後、中学に進むと、自ら『草迷宮』のオーディションに挑戦するなど、早くから映画への情熱を燃やしました。

岸野が本格的に映像制作に関わり始めたのは中学3年生のときでした。8ミリビデオを手に入れたことで、自ら映像を撮影し始め、1981年に高校卒業後には、自主制作映画『おまけのいちにち』が「ぴあフィルムフェスティバル1982」に入選。この成功を契機に、映画学校を辞め、立教大学の映画研究会に参加し、制作に関わっていきます。

俳優としても活躍し、名前を分けることもあり、岩野雄一や岸野萌圓（きしのほうえん）名義でも知られています。彼の家族背景も特異で、名悪役として有名な俳優・仁礼功太郎が大叔父にあたります。さらに、サルトル研究で名を馳せた青山学院大学名誉教授の石崎晴己は彼の叔父でもあります。

音楽方面では、岸野は当初、バンド東京タワーズに参加し、カバー演奏を中心に活動を始めます。特にアニメや特撮の主題歌の独自解釈が評価され、ファンクラブが設立されるまでに至った経歴は、彼の活動の多彩さを物語っています。1984年には、バンドが一時解散するも、岸野は新たに「コンスタンス・タワーズ」（後のSpace Ponch）を結成し、シンセサイザーを使用したインストルメンタルのカバーを行い、ラウンジ・ミュージックとしての位置付けが高まります。

1985年には、ダイエーのアンテナショップで働き、1993年には高円寺に中古レコードショップ「マニュアル・オブ・エラーズ」をオープンさせました。店はカルト・ショップとして名を馳せ、DJイベントも盛況を博します。

俳優としての出演も続け、黒沢清監督作品に多く出て、映画音楽の作曲にも関与。評論活動も多岐にわたり、特に1980年代後半から1990年代前半にかけては「寿博士」名義でテクノ・ポップの批評も精力的に行いました。これに伴い、音楽ユニット「ヒゲの未亡人」としても活動を広げました。

現在は、バンド「WATTS TOWERS」としての活動を継続しつつ、東京芸術大学大学院や映画美学校などで音楽に関する講義を行い、後進の育成にも力を入れています。2015年には音楽劇「正しい数の数え方」が文化庁メディア芸術祭で大賞を受賞するなど、その活動の幅広さは尽きることがありません。

岸野雄一の多才な活動と独自の視点は、今後の日本の文化シーンにおいても大いに注目され続けることでしょう。

もう一度検索