戦後恐慌

戦後恐慌

戦後恐慌（せんごきょうこう）とは、戦争の終結によって引き起こされる経済の崩壊を指します。しばしば「反動恐慌」とも称されるこの現象は、戦時中の好景気が終了した後、経済が急激に冷え込むことで発生します。これは歴史的に見ても繰り返される事象であり、特に日本においては第一次世界大戦後の1920年に発生した不況を指すことが多いです。

戦争と景気の変動

大戦中、日本は輸出と内需に支えられた好景気（いわゆる大戦景気）を享受しました。しかし、1918年11月に第一次世界大戦が終結すると、その影響で日本の経済は次第に冷え込んでいきます。しかし、当初はヨーロッパの復興が難航するとの見込みがあったため、景気は依然として好調を保っていました。1920年に入ると、特に繊維業や電力業を中心に再びブームが訪れ、これを「大正バブル」と呼びます。この時期、日本の金融市場も活発化し、株式や土地、商品に対する投機が盛んになり、インフレーションを引き起こしました。

1920年の恐慌

しかし、このような繁栄も長くは続きませんでした。第一次世界大戦の影響による過剰生産が問題になり、特に1920年3月には、ヨーロッパの主要国が生産市場に復帰したことで、日本の輸出は急速に不振に陥りました。この影響で日本国内では大量の在庫が発生し、株価が半分から三分の一に激減しました。4月から7月にかけては、株価の暴落に伴う銀行の取り付け騒ぎが相次ぎ、多くの銀行が危機に瀕しました。

日本はこの戦後恐慌の最中、債務国から債権国へと転じていましたが、1919年以降は輸入超過の状態が続き、特に綿糸や生糸の相場は1920年には半値以下にまで落ち込んでしまいます。これによって21の銀行が休業し、紡績・製糸業も生産を大幅に減少させざるを得なくなりました。特に、茂木商店が倒産したことにより関連する銀行でも連鎖倒産が発生しました。

経済の再建

政府による救済措置が取られた結果、恐慌は徐々に収束していきました。それに伴い、大戦中に成長を遂げた企業や財閥は、競争の中でも持ちこたえ、逆に地位を向上させていきました。一方で、経営者の中には粉飾決算を行い、利益を隠す行為が横行し、このことがさらなる経済の混乱を引き起こす結果となりました。

1920年代に入ると、「慢性不況」と呼ばれる状況が続き、鉱山や造船、商事などの主要産業は停滞しました。この不況は大戦期の輸出経済と、戦後のバブル経済の反動によるものであり、多くの企業が厳しい状況に直面しました。特に、久原商店や鈴木商店といった企業は破綻し、重化学工業も輸入品の再流入に苦しむこととなります。

結論

戦後恐慌は、単なる経済崩壊にとどまらず、日本経済の構造にも大きな影響を与えました。この現象は、戦後の経済政策や財閥の発展にも密接に関係しています。日本はこの危機を乗り越える過程で、様々な教訓を得ることとなります。

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