戦慄の絆

戦慄の絆

『戦慄の絆』（原題：Dead Ringers）は、1988年に制作されたカナダのサイコ・スリラー映画で、デヴィッド・クローネンバーグが監督を務めました。主演はジェレミー・アイアンズとジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドの二人。物語は、一卵性双生児の兄弟であるエリオットとビヴァリー・マントルが主人公です。

あらすじ

トロントで産婦人科を開業している二人は、幼少期から非常に親しい関係にありました。兄のエリオットは社交的で自信にあふれる性格である一方、弟のビヴァリーは控えめで繊細な努力家という、正反対の性格を持っています。

ある日、ビヴァリーのもとに女優のクレアが診察に訪れます。彼女の子宮が異常であることを発見したビヴァリーは、エリオットに相談することになります。エリオットは、クレアが子供を持てない体であると告げ、二人は密かに結束を深めます。しかし、その翌日、ビヴァリーはクレアに誘われ、彼女との関係が新たな秘密となることに。これがきっかけで、兄弟の間の均衡が崩れ、やがて悲劇へと繋がっていくのです。

作品背景

本作は、実際にあった双子の産婦人科医が致命的な状況で亡くなった事件にインスパイアを受けて制作されています。当初は「Twins」というタイトルを考えていましたが、同時期に制作された映画『ツインズ』との重複を避けるため、最終的に「Dead Ringers」と改題されました。原作の小説は1979年に早川書房から刊行され、その後『双生児』と名を変えて再出版されました。

評価と受賞歴

『戦慄の絆』は、批評家から高い評価を受けており、レビューサイトRotten Tomatoesでは83%の支持率を得ています。Metacriticでは86/100と評価され、多くの称賛を受けました。特に、主演のジェレミー・アイアンズはニューヨーク映画批評家協会賞やシカゴ映画批評家協会賞の主演男優賞を受賞し、その演技力は映画の心臓部とも言えるものでした。

2023年には全6話のシリーズとしてリメイクされ、Amazon Prime Videoで配信が開始されました。主演のレイチェル・ワイズは、製作総指揮も務めており、新しい形式で物語を再構築しています。こうした展開によって、オリジナル作品の魅力が再び照らされ、新たな視点で楽しむことができるようになっています。

キャスト

• - ジェレミー・アイアンズ: エリオット・マントル / ビヴァリー・マントル（二役）
• - ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド: クレア・ニヴォー
• - ハイディ・フォン・パレスク: ケイリー
• - バーバラ・ゴードン: ダヌータ
• - シャーリー・ダグラス: ローラ
• - スティーヴン・ラック: アンダース
• - ジル・ヘネシー: ミムジー
• - ジャクリーン・ヘネシー: コラル

なお、ジル・ヘネシーとジャクリーン・ヘネシーは実際の双子であることも、本作の特異性を際立たせています。

『戦慄の絆』は、単なるサイコ・スリラーに留まらず、アイデンティティや人間関係の複雑さを探求する作品として、現在も多くのファンに支持されています。

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