戦略的環境アセスメント

戦略的環境アセスメント（SEA）とは

戦略的環境アセスメント（Strategic Environmental Assessment：SEA）とは、政策、上位計画、事業の意思決定、適地選定などの初期段階で実施される環境アセスメントのことです。従来の事業実施段階で行われる環境アセスメント（事業アセス）と比較して、より早い段階で環境への配慮を組み込むことができるため、柔軟な対応が可能になると期待されています。

SEAは、事業アセスメントよりも前の段階、すなわち「Policy（政策）＞Plan（計画）＞Program（プログラム）」という、いわゆる3つのPの段階で実施されることが想定されています。しかし、どの段階からSEAと呼ぶかについて明確な定義はなく、概念的な広がりを持つものとして理解されています。

SEA導入の背景

従来の事業アセスメントは、事業計画が具体化し、環境への影響が比較的明確になった段階で実施されていました。そのため、より早い段階で環境配慮を組み込む必要性が認識され、SEAの導入が検討されるようになりました。

2010年（平成22年）には、中央[[環境審議会]]が「今後の環境影響評価制度の在り方について」を答申し、その中でSEAの導入が提言されました。これを受けて、2011年（平成23年）に環境影響評価法が改正され、「配慮書」手続きとしてSEAが制度化されました。

SEAの制度化

環境影響評価法の改正により、事業者は、事業の実施に先立ち、配慮書を作成し、環境への影響を評価することが義務付けられました。これにより、より早い段階から環境配慮が促進されることが期待されています。

地方自治体におけるSEAの導入

国に先駆けて、埼玉県や東京都などの一部の地方自治体では、条例を制定してSEAを導入しています。これらの自治体では、独自の基準や手続きを設け、より効果的な環境配慮に取り組んでいます。

SEAの意義

SEAは、従来の事業アセスメントでは対応が難しかった、より上位の政策や計画段階での環境配慮を可能にします。これにより、事業の実施段階での環境負荷を低減するだけでなく、持続可能な社会の実現に貢献することが期待されています。より早期に環境配慮を組み込むことで、より柔軟で費用対効果の高い環境対策を講じることが可能になります。

参考情報

[埼玉県]]: [戦略的環境アセスメント導入ガイドライン
生物多様性基本法: e-Gov法令検索
[環境]]省: [「今後の環境影響評価制度の在り方について（案）」に対する意見募集（パブリックコメント）の結果及び中央[[環境審議会]]の答申について（お知らせ）
[中央環境審議会]]: [今後の環境影響評価制度の在り方について（答申）


SEAは、環境保全の観点から、非常に重要な取り組みです。より多くの自治体や事業者がSEAを導入し、環境と調和した社会づくりが進むことを期待します。

もう一度検索