戦線 黒白赤

1933年3月に行われたドイツ国会選挙において、[ドイツ国家人民党]と鉄兜団は、共同選挙戦線を展開しました。その名称は「闘争戦線 黒白赤 (Kampffront Schwarz-Weiß-Rot)」で、旧ドイツ帝国の国旗の色である黒、白、赤を冠した、当時の政治情勢を反映したものです。

この選挙連合は、1933年2月11日に結成されました。国家人民党からは11人の議員が参加し、鉄兜団は右翼民族主義的な勢力として、この選挙連合に大きな影響を与えました。選挙活動においては、ナチ党との協力関係が注目されました。

2月20日には秘密会合が開催され、ナチ党と闘争戦線 黒白赤は、企業家から多額の選挙資金を受け取ったことが明らかになっています。総額300万ライヒスマルクにのぼる資金のうち、闘争戦線 黒白赤は25%にあたる75万ライヒスマルクを受け取ったとされます。この資金提供は、選挙運動の展開に大きな役割を果たしたと考えられます。企業家たちがナチス政権樹立を期待し、資金提供を行ったという見方が有力です。

しかし、選挙の結果はナチ党の圧勝となりました。ナチ党は議席を大きく伸ばし、一方の闘争戦線 黒白赤はわずか8%の得票率にとどまりました。ナチ党の圧倒的な人気と勢いの前に、選挙連合は大きな成果を収めることができませんでした。この結果は、ドイツの政治情勢におけるナチ党の台頭を決定的に示すものとなりました。

闘争戦線 黒白赤の失敗は、いくつかの要因が考えられます。まず、ナチ党との連携は表面的なものであり、真の協力体制を築くことができなかった点が挙げられます。また、右翼勢力内部の対立や、ナチ党の強力なプロパガンダ戦略も、選挙結果に影響を与えたと考えられます。さらに、国民の支持はナチ党に集中しており、闘争戦線 黒白赤は国民の共感を得ることができなかったと分析できます。

この選挙連合は、その後、歴史の表舞台から姿を消しました。しかし、1933年のドイツ国会選挙における闘争戦線 黒白赤は、当時のドイツ政治における複雑な権力闘争と、ナチ党の急速な台頭を理解する上で重要な事例となっています。ナチス台頭の過程において、右翼勢力の連携と分裂、資金力と国民の支持獲得の困難さといった点を改めて認識させる出来事でした。この選挙結果と選挙連合の経緯は、後のドイツの歴史、ひいては世界史を語る上で欠かせない要素となっています。

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