戦術航空偵察ポッドシステム

戦術航空偵察ポッドシステム（TARPS）

戦術航空偵察ポッドシステム、通称TARPSは、アメリカ海軍のF-14トムキャット戦闘機に搭載されていた高度な航空偵察機器です。このポッドは、大型のカメラを備えており、戦闘機が飛行する際に周囲の地形を撮影するための重要な役割を果たしました。

TARPSの特徴

TARPSは、複数のカメラを搭載して地上の写真を撮影することができます。その際、撮影された画像は大きなフィルムリールに保存され、後に解析や報告のために使用されます。さらに、デジタルカメラを搭載した後の型においては、収集された情報をリアルタイムで基地や航空母艦に送信できる能力も持っています。

このポッドの長さは約5.2メートル、重量は約840 kgと非常に大きく、マッハ2の速さでの飛行にも耐えられるよう設計されており、内部のカメラを保護するための頑丈な構造をしています。最初にF-14AとF-14BはTARPSを搭載できなかったものの、後に改修され、最終的にはF-14Dに至るまで全てのF-14がこの装備を取り付けられるようになりました。

使用歴

TARPSは1980年代初頭から活用され、特にボスニア・ヘルツェゴビナ紛争や湾岸戦争（砂漠の嵐作戦）において、その偵察能力が重要な役割を果たしました。特に湾岸戦争では、敵の動きや地形の詳細を把握するためにこのポッドが積極的に活動し、その結果、戦闘の戦略や対応が大きく向上しました。

また、1993年に発生したミシシッピ川流域の大洪水の際にもTARPSが活用されました。アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁（FEMA）は、被災地域の調査にTARPSを用いることで、被害がひどかった箇所を正確に把握し、迅速に救援作業を行うための判断材料を得ることができました。

後継機種

F-14の退役後、その後継機としてF/A-18E/Fスーパーホーネットが就役しましたが、この機体にもTARPSの後継となる装備、SHARP（SHAred Reconnaissance Pod：分割偵察ポッド）が導入されています。SHARPはTARPSの機能を引き継ぎ、現代の戦闘においても重要な偵察能力を提供しています。

まとめ

戦術航空偵察ポッドシステム（TARPS）は、航空偵察の重要なツールとして、アメリカ海軍の戦闘機に搭載され、多くの実戦でその能力を発揮してきました。これにより、地上の情報を迅速に収集し、戦略的な優位性を得るための重要なサポートを行ったのです。

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