戦車突撃章

戦車突撃章

戦車突撃章（ドイツ語: Panzerkampfabzeichen）は、ナチス・ドイツが戦車兵の戦功を称えるために設立した勲章です。直訳すると「戦車戦闘章」となるこの勲章は、第一次世界大戦からその歴史をしっかりと刻んでいます。もともと、1918年に制定されたのは、ドイツの初代戦車A7Vをデザインに取り入れたものでした。その際、頂点にはトーテンコップが、多くの月桂樹に囲まれていました。

歴史的背景

第二次世界大戦の開始に伴い、新たに戦車に乗る兵士たちの功績を称えるために、1943年に新たな勲章制度が導入されました。これを受けて、ヴァルター・フォン・ブラウヒッチュの命令により、1939年12月20日に戦車突撃章が設けられました。このデザインは、ヴィルヘルム・エルンスト・ピークハウスによって創作されました。

1940年6月には、戦車突撃章が銀と銅の二つのタイプに分かれ、これにより戦車以外の装甲車に乗る兵士も対象となるようになりました。この改変によって、戦車兵だけでなく、装甲部隊に属する医療スタッフや装甲擲弾兵など、戦場に貢献したすべての部隊が評価されるようになりました。

勲章のデザイン

戦車突撃章の上部には、ハーケンクロイツを持った鷲が描かれ、その中央にはIV号戦車が左から右へと描かれています。また、その周りを柏葉が取り囲んでいます。この勲章は、戦車の搭乗員が異なる日に戦闘任務に参加し、成果を上げた場合に授与されるシステムがありました。特に銀章は、戦車の車長や砲手、通信手に授与され、銅章は装甲擲弾兵連隊、対戦車兵、装甲車に乗った医療従事者など、対戦車戦に従事した者に与えられました。この授与は、装甲師団の師団長を通じて行われていました。

等級制度の導入

戦争が長引くにつれ、従来の戦車突撃章の授与基準では、兵士たちの正確な功績を反映させることが難しくなってきました。そこで、1943年6月に新たに四つの等級が設定され、戦車突撃章には、25回、50回、75回、100回の戦闘任務に参加したことを記念する小さな板が付与されました。25回と50回の等級には銀メッキが施され、75回と100回には金メッキが施されたことが特徴です。

また、200回を記念する戦車突撃章の制定が文献に記載されることがありますが、実際に製造や授与が行われた記録は存在していません。特筆すべきは、この新バージョンの戦車突撃章では、描かれていた戦車がIV号戦車からIII号戦車に変更されています。

戦後の変遷

1957年には、戦争の記憶とナチズムを排除するために、戦車突撃章の上部にあった鷲とハーケンクロイツを取り去った新たなデザインが誕生しました。これにより、戦後の社会においてもこの勲章が一定の役割を果たすよう進化していったのです。

このように、戦車突撃章は歴史を通じてそのデザインや授与基準を見直し続け、時代が求める形で形を変えてきたのです。

もう一度検索