戦闘指揮所

戦闘指揮所（CIC）

戦闘指揮所（Combat Information Center、通称CIC）は、現代の軍艦において戦闘情報を集約し、指揮・発令を行う重要な役割を持つ部署です。CICでは、レーダーやソナー、通信手段を駆使して自艦の状態や遭遇する脅威に関する情報を処理し、戦闘の効率を高めるための決定的な情報を提供します。特に、航空母艦ではその機能がCDC（Combat Direction Center）として代替され、艦の戦闘能力を強化しています。このように、CICは艦船の中核を担う機能を有しており、その構造や運用方法は日々進化しています。

概要

CIC内部には、戦術情報処理装置やC4Iシステムが整備されています。これはオペレーターと共に戦闘中の情報処理を行なうマン・マシン・システムとして構成されており、艦船の戦闘遂行において必要不可欠な役割を果たします。CICの設計は、艦のシステム統合にとって重要であり、そのために多くの機密情報を扱う必要があるため、通常は厳格な立ち入り制限が設けられています。

CICは最初、手動操作の部屋として始まっており、その後、航空情報の発展やコンピュータ技術の進化に伴って自動化が進められました。1950年代に入り、カナダやアメリカでCICの自動化が始まり、まずは武器管制装置としての役割を果たすことが期待されました。その後、TEWA（Threat Evaluation and Weapons Assignment）システムの開発が進み、CICはより複雑な脅威評価を行う能力が搭載されました。これによりCICは、艦内で瞬時に判断を行うための強力な情報中枢として機能するようになりました。

沿革

草創期（1940年代 - 1950年代）

第二次世界大戦前、艦の指揮は艦長が艦橋で行なうものでしたが、目視での情報処理が中心でした。1940年代に入ると、イギリス空軍がレーダー技術を応用し、フィルター・ルーム・コンセプトなる統合情報処理の必要性を提案しました。これに影響を受けてアメリカ海軍も急速にCICの概念を取り入れ、艦上指揮所の初期の形を構築しました。特に、真珠湾攻撃後にはCICの役割の重要性が認識され、急速に進化が進みました。

自動化の導入（1950年代 - 1980年代）

CIC内の情報処理は、初期にはほぼ手動で、紙と人による処理が中心でした。1948年、イギリス海軍のシミュレーションでその限界が露呈し、大きな改革が求められるようになりました。1950年代初頭から、カナダではDATARが開発され、デジタルコンピュータを活用した情報処理が初めて試みられました。この流れは、米国の海軍戦術情報システム（NTDS）の発展につながります。

統合システム化（1980年代以降）

1980年代に入り、CICとWDS（武器管制システム）の連接が実現し、イージスシステムのような高度に自動化されたシステムが搭載され始めました。これにより、アメリカの水上戦闘艦は高機能化が進み、より複雑な状況でも迅速に対応できるようになります。

海上自衛隊と海上保安庁

日本では、海上自衛隊がCICの区画を「クリーンC」と呼び、ここは艦の戦闘能力を維持するために特に強固に設計されています。また、海上保安庁の巡視船にもOIC（Operation Information Center）が設けられ、CICの機能を反映した形で指揮統制の強化が図られています。このように、戦闘指揮所の役割は各国の艦船で異なりながらも、共通して情報処理と決定支援の重要性が強調されています。

CICの進化は、技術の発展を背景に、戦闘の様相を一変させ、現代海軍における中心的な役割を担っています。

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