戦闘詳報

戦闘詳報とは

戦闘詳報（せんとうしょうほう）は、日本の海軍や陸軍が戦闘や作戦を実施した後に作成する報告書であり、上級司令部へ提出することが求められていました。この報告書は、戦闘の詳細や経緯を記録し、将来の指導や作戦計画に役立てられる重要な資料となっています。海外にも類似の制度があり、アメリカ海軍における「アクションレポート」がこのカテゴリに入ります。

海軍における戦闘詳報

海軍にとっての戦闘詳報は、戦時日誌や行動調書とともに、戦闘状況を詳述した主要な一次資料として位置づけられています。この資料は、内藤初穂により、政治や経済の観点からでは把握しきれない現場の生の声を反映したものとされています。特に、戦闘詳報は各艦・艦隊のレベルで作成され、最終的には海軍大臣や軍令部総長に通達されることで、戦訓や作戦計画、兵器の評価のための貴重な分析材料となっていました。

戦闘詳報の作成は、一般的に内務や航海、砲機銃などの各部署による記録を時系列にまとめ、海軍の主計科が統合して行われます。また、航空部隊の場合は、飛行隊長や飛行長補佐などが指定され、帰投後に作成が行われます。戦果判定や功績認定も含まれており、これらの情報は戦闘後に整理されました。

作成手順

戦闘詳報は主に次のような項目を含んでいます：

• - 一般情勢
• - 作戦計画
• - 戦闘経過
• - 損害・戦果判定
• - 指揮官の見解

このように、戦闘詳報は戦闘後に迅速に整備される必要があり、時には戦場の只中で行われることもありました。そのため、記録の正確性には時として疑問が生じ、情報の解析には注意が求められます。

陸軍における戦闘詳報

陸軍においても戦闘詳報は重要な一次資料として存在し、陣中日誌と合わせて使用されます。作戦要務令に基づき、歩兵や砲兵などは大隊以上、他の兵種では中隊以上からの提出が義務付けられていました。作成手順は海軍と似ており、戦闘前の状況や戦闘経過を詳細に記載します。これにより、戦闘の評価や指導方針に活用されました。

戦後の扱い

日本の敗戦後、多くの戦闘詳報は焼却処分されましたが、一部は山梨県と神奈川県で保管され、進駐軍に押収されました。これらは後にアメリカの公文書館に保管され、日本側の責任者がその後の公式な戦史作成に関与しました。

また、1995年にはアテネ書房が戦闘詳報をまとめた資料が発行され、近年では多くの研究者により分析や検証が進められています。このように、戦闘詳報は単なる記録に留まらず、歴史や戦術の理解を深めるための重要な資源となっています。

現在でもこのような資料の発見が続き、研究が進められています。戦闘詳報は、事件の真相を探る手がかりとなるだけでなく、戦争の解釈に大いに寄与しています。

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