戴冠式頌歌

『戴冠式頌歌』作品44の概要

『戴冠式頌歌』（たいかんしきしょうか Coronation Ode）は、イギリスの作曲家エドワード・エルガーによって1902年に作曲された合唱曲です。この作品はエドワード7世とアレクサンドラ王妃の戴冠式のために特別に書かれました。歌詞はアーサー・クリストファー・ベンソンによって作成され、エルガーの名前に関連して特別な勅許によって献呈されました。

作曲の背景

ヴィクトリア女王が1901年に崩御した後、エドワード7世の戴冠式の計画が急ピッチで進められました。エルガーはこの特別なイベントのために合唱曲を手がけるよう依頼され、アーサー・クリストファー・ベンソンの協力を得ることになりました。彼は詩人でもあり音楽家でもあったため、彼とのコラボレーションが生まれ、素晴らしい成果をあげることができました。

さらに、エルガーは王からのヒントを受けて、彼の名作『威風堂々』のトリオ部分に歌詞をつけることを提案されました。これにより、『戴冠式頌歌』のクライマックス部分にこのメロディーを取り入れることが決まりました。1902年2月に作曲を開始し、5月の戴冠式には間に合わず初演は10月にずれ込むこととなりましたが、エルガーはその後も作品の完成に取り組み続けました。

初演とその後

『戴冠式頌歌』の初演は1902年10月2日のシェフィールド・フェスティバルで行われました。この楽曲はエルガー自身の指揮によって披露され、アグネス・ニコルズ、ミュリエル・フォスター、ジョン・コーツらがソリストとして出演しました。さらに、同年10月26日にはコヴェント・ガーデンにてロンドンでの初演が行われました。

この作品は、導入部から終結部までの全6つのパートで構成されており、それぞれに異なるテーマが盛り込まれています。特に導入部「王が戴冠したまわんことを」と終結部「希望と栄光の国」が、戴冠式の際には必ず演奏される重要な部分となっています。

音楽的特徴

『戴冠式頌歌』は、ソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バスの独唱と合唱、さらに管弦楽によって奏でられます。各パートは、それぞれの役割や感情を表現するために緻密に構成されており、特に合唱部分が壮観な雰囲気を醸し出しています。歌詞には宗教的な要素も含まれ、戴冠式にふさわしい荘厳さを持っています。

歴史的意義

『戴冠式頌歌』は、エドワード7世以降の英国において行われた全ての王の戴冠式で演奏されています。ただし、全てのパートが同時に演奏されるわけではありません。導入部と終結部は必ず演奏される一方で、祈りを表現した部分などは省略されることもあります。

本作は、単なる戴冠式の音楽にとどまらず、英国における重要な文化的財産として受け継がれています。エルガーの作品は今なお多くの人に愛されており、戴冠式の場面では特にその存在感を放っています。

結論

『戴冠式頌歌』はエドワード7世の戴冠式を記念するために作られた合唱曲であり、エルガーの音楽的偉業が伺える作品です。その荘厳さと合唱の美しさは、今なお多くの人々に感動を与え続けています。

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