戴帽式

戴帽式（たいぼうしき）について

戴帽式は、看護学校や歯科衛生士学校で、学生が初めての病院実習を前に行われる重要な儀式です。この式は、学生一人ひとりに教員がナースキャップを授与することで、看護師や歯科衛生士としての職業意識を高め、またその責任の重さを認識させることを目的としています。一般に「キャッピング」とも呼ばれ、学生がナイチンゲール像から灯りを受け取った後、そのキャンドルの明かりの中でナイチンゲール誓詞を読み上げるという形式が取られています。

歴史と発展

日本の戴帽式は、大正5年に聖路加病院高等看護学院（現在の聖路加看護大学）で初めて実施されたとされています。この歴史的な事件は、看護教育において精神的な意味を持つ象徴的な儀式として定着しました。当初、男子学生には特別な帽子が与えられたり、別の記念品が授与されたりすることが一般的でした。

ナースキャップ廃止とその影響

近年、ナースキャップの着用については変化が見られます。多くの病院では、感染症予防の観点からナースキャップの着用が廃止され、これに伴い戴帽式を実施しない教育機関も増加しています。しかし、職業意識を高めるという意図は依然として重要視され、多くの学校ではこの精神を保ちながら、代替の形での儀式が行われています。

たとえば、キャップなしで行う「宣誓式」や「ウェアセレモニー」、「ナーシングセレモニー」、「戴灯式」などの名称で新しい形式が提案されています。中でも「戴灯式」は、フローレンス・ナイチンゲールがクリミア戦争で患者を見守るためにキャンドルの光を頼りにしていたという故事に由来しています。

新たな呼び名と施行の変化

このように、時代の変化に伴い、戴帽式の形が変わると共にその名称も進化しています。一部では「戴灯式」という名前が使用されることから、学生たちは頭にろうそくを載せるのかという冗談もあったりしますが、実際にはナイチンゲールの覚悟や精神を表現する意味合いが込められています。

重要性と今後の展望

戴帽式は看護学生にとって、職業としての自覚を促し、その責任を認識する大切な儀式です。そのため、ナースキャップの着用が減少しても、この儀式の重要性が失われることはなく、多様な形で引き継がれています。将来的には、より多くの学校が形式を工夫し、看護教育における職業意識の醸成を目指すことでしょう。教育だけでなく、看護職を志す学生がこの儀式を経験することで、彼らの職業に対する思いやりや責任感が育まれることが期待されています。

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