戸木城

戸木城（へきじょう）の歴史

戸木城は、三重県津市戸木町に位置する平山城であり、15世紀半ばから16世紀初頭にかけて、木造具政によって築かれました。戸木城の歴史は、侍大名にとって重要な戦略拠点としての役割を果たしてきたことから、地域の歴史に大きな足跡を残しています。

築城の背景

天文23年（1554年）、木造家の当主である木造具政は、自らの家督を息子の木造長政に譲る際、隠居所としてこの城を築きました。この城は「戸木御所」とも呼ばれ、木造家の歴史において特別な意味を持つ場所となりました。その後、天正12年（1584年）には、長政が城を増強・修復し、より一層堅固な城郭へと発展させました。

織田信長との関わり

1569年、木造具政と長政は、伊勢に侵入してきた織田信長に対して、その地理的な知識を生かして南伊勢の案内役を担いました。この時、彼らは信長に仕官し、以降、北畠家の継承者である信雄にも仕官することとなります。勝者たちはこの時代、政治的な駆け引きが激しく、信長の強大な力にひたすら従い続けられたのです。

本能寺の変と城の運命

しかし、本能寺の変により信長が討たれると、天正12年には信雄と豊臣秀吉の対立が勃発しました。この対立から、小牧・長久手の戦いが引き起こされ、木造家は戸木城に籠城して抵抗しました。籠城戦は約6ヶ月に及び、将兵数百人がここに立てこもりました。この時期、木造家は守備に専念し、地域の先陣を切る存在として名を馳せました。

最終的には、信雄と秀吉の和睦が成立し、木造長政は城を明け渡すこととなり、その後田辺城（現在の三重県いなべ市）へと移城しました。この城の落城は、木造家にとっての大きな転機となったのです。

廃城と発掘調査

戸木城はその後、中川庄蔵が一時的に管理しましたが、慶長年間に廃城となってしまいます。城跡は時とともに失われていきましたが、昭和52年（1977年）に小学校建設の際に実施された発掘調査により、堀の跡や他の遺構が発見される発見がありました。

現在、戸木城の跡地は津市立戸木小学校の敷地となっています。当時の遺構は一部が発見され、地域の歴史を振り返る貴重な場所となっているのです。これにより、戸木城は単なる廃城ではなく、今もなお地元の人々の記憶に残る重要な歴史の象徴となっています。

関連する文化遺産

この城は、日本の歴史において数々の興味深い事件と人々と結びついています。戸木城は日本の城郭や戦国時代の重要な一幕を語る場として、今後もその存在意義を再評価され続けることでしょう。

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