戸波親清

戸波親清：戦国末期から江戸初期を駆け抜けた武将

戸波親清は、戦国時代末期から江戸時代初期にかけての武将で、長宗我部氏の家臣として活躍しました。土佐戸波城を居城とし、その生涯は激動の時代を象徴するかのようです。

生い立ちと長宗我部家での活躍

親清は、長宗我部氏の家臣である戸波親武の長男として生まれました。父・親武は、長宗我部国親の弟・長宗我部国康の子であり、永禄12年（1569年）に長宗我部元親によって戸波城の城主に任じられた際に、戸波の名字を名乗りました。親清は、このような家系の中で武将としての道を歩み始めました。

関ヶ原の戦いとその後

関ヶ原の戦いの後、徳川氏によって長宗我部氏が改易されると、親清は籠城して徹底抗戦を主張しましたが、受け入れられませんでした。この出来事は、親清の忠義心と武士としての矜持を示すものと言えるでしょう。その後、大坂の陣が勃発すると、親清は旧主・長宗我部盛親のもとに馳せ参じ、八尾の戦いでは二番槍の功を立てるなど、その武勇を遺憾なく発揮しました。しかし、大坂城の落城後に山城八幡で盛親とはぐれてしまい、以後は藤堂高虎に150石で仕えることとなりました。

藤堂家への仕官

大坂の陣において、長宗我部隊と正面から激突した藤堂家には、戦の前から旧長宗我部氏の家臣が多数仕官していました。このことから、親清の活躍も知られていたことに加え、藤堂家には旧知の者が多くいたと考えられます。これらの要因が、親清が藤堂家に仕官する上で有利に働いたのでしょう。

剣術家としての側面

親清は、剣術の達人としても名を馳せました。新陰流を学び、独自の戸波流を興したと伝えられています。その剣術の腕前は、寛永11年（1634年）に伊賀上野で仇討ちに及んだ荒木又右衛門ら（鍵屋の辻の決闘）が藤堂家にお預けになった際のエピソードにも表れています。決闘中に敵の木刀で刀を折られた又右衛門に対し、親清は「折れやすい新刀で仇討ちに及んだため、実戦の最中に刀を折られたのだ」と叱責。又右衛門は不明を恥じ、寛永12年（1635年）に親清に弟子入りして新陰流を学んだとされています。

戸波流の継承

戸波一門は、藤堂藩の剣術指南役として務め、新陰流（戸波流）を教えていたことが「津藩分限役付帳」（名張市所蔵）などからも確認できます。これは、親清が築き上げた剣術の流派が、後世にまで受け継がれていたことを示しています。

戸波親清は、武将としてだけでなく、剣術家としてもその名を歴史に刻みました。激動の時代を生き抜き、武士としての忠義と剣術家としての才能を兼ね備えた人物として、後世に語り継がれています。

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