戸田修三

戸田 修三（とだ しゅうぞう）氏は、1923年2月14日に愛知県一宮市に生まれ、2018年5月21日に逝去した日本の法学者です。その専門は商法にあり、特に海商法の分野においては、日本における第一人者として広く認められていました。

戸田氏は、中央大学においてその学問的キャリアをスタートさせました。1944年に同大学の専門部法学科を卒業後、1947年には法学部を卒業。さらに大学院法学研究科に進みますが、1948年に中退されています。その後、中央大学法学部の助手として教壇に立ち始め、1951年には助教授、そして1959年には教授へと昇任しました。

学問研究と並行して、戸田氏は中央大学の運営においても重要な役割を果たしました。1965年には評議員に選ばれ、同年には法学部長に就任。1967年には大学院法学研究科長を務めました。そして、1968年には中央大学の学長に就任し、1981年までの長きにわたり、大学の発展に尽力しました。この間、大学の理事も兼任しています。1992年に中央大学を定年退職した際には、同大学より名誉教授の称号を贈られました。

中央大学以外でも、戸田氏は教育研究活動を続けました。明海大学不動産学部では1993年まで教授を務めています。また、公的な立場からも日本の私学振興に大きく貢献しました。日本私学振興財団の理事長を1997年まで務めた後、1998年には新設された日本私立学校振興・共済事業団の初代理事長に就任し、1999年までその職を務めました。

学外の教育機関においても、千葉大学文理学部、横浜市立大学商学部、神奈川大学経済学部、埼玉大学経済学部などで非常勤講師として教鞭を執り、多くの学生を指導しました。さらに、法曹界にも貢献しており、1964年から1971年にかけて旧司法試験の第二次試験考査委員を務めています。

戸田氏の研究は商法全般に及びましたが、特に初期から晩年まで一貫して海商法を専門とし、この分野の研究を牽引しました。博士論文「海上運送法における責任の体系」も海商法に関するものです。研究対象は、その後、商法総則や商行為法といった商法の根幹部分にも広がっていきました。フランスのエクス・マルセイユ第三大学からは名誉博士号を授与されており、国際的な学術交流にも貢献したことが伺えます。

主要な著書には、専門分野における研究成果をまとめたものが多数あります。

『圖解商法大意 海商・保險』（柏林書房 1954年）
『商法 : 総則・商行為』（有信堂 1957年）
『商行為法』（文久書林 1962年初版・1985年改訂版）
『商法総則』（文久書林 1962年初版・1982年3訂版）
『海商法』（文真堂 1970年初版・1990年新訂第5版）
『商法総則・商行為・有価証券』（南雲堂深山社 1970年初版・1987年三訂版）
西島梅治共編『保険法・海商法』（青林書院 1993年）
中村眞澄共編『注解国際海上物品運送法』（青林書院 1997年）

戸田修三氏は、法学者として卓越した研究業績を残すとともに、教育者として後進の指導にあたり、さらには中央大学の学長として大学運営を担い、日本の私学振興においても中心的な役割を果たすなど、多岐にわたる活動を通じて社会に貢献した人物です。

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