戸田忠男 (剣道家)

戸田 忠男について

戸田忠男（とだ ただお、1939年2月4日 - 2016年12月22日）は、日本の名剣道家であり、剣道範士八段としても知られています。昭和37年と39年の全日本選手権を制覇したことから、彼は剣道界において不動の地位を確立しました。また、二刀流の先駆者としても広く認識されています。彼の生涯と業績は、多くの剣道家に影響を与えました。

経歴

戸田は滋賀県にて生を受け、6歳で終戦を迎えました。彼の成長期には、学校武道が禁止されてしまっていたため、剣道に対する熱意を秘めながら育ちました。しかし、彼の情熱は衰えることなく、1954年に大阪の今宮高校に進学すると、インターハイが復活し、1955年と1956年には続けて出場しました。これにより、近畿大会では個人、団体ともに優勝し、剣道の才能を開花させました。

その後、慶應義塾大学法学部政治学科に入学します。大学では、中野八十二から指導を受け、剣道の技術を深めました。在学中は全国大会での優勝を果たすことはできませんでしたが、卒業と同時に、彼の後輩たちが全日本学生大会で初めての優勝を飾ることとなります。これにより、戸田の存在感は一層際立つことになりました。

1961年、東洋レーヨン株式会社に入社した戸田は、同年に滋賀県代表として全日本選手権に初出場します。翌1962年には優勝、1963年には準優勝と、彼の剣道家としてのキャリアが本格化します。1964年には再度優勝を果たし、史上二人目となる二度目の全日本選手権制覇を達成しました。彼の成功を受けて、千葉仁や川添哲夫などの選手が登場し、上段のスタイルが日本の剣道においてブームを巻き起こしました。

1970年に開催された第1回世界剣道選手権大会では、戸田は日本代表として出場し、見事に準優勝を達成しました。これにより、彼は世界的な剣道家としての地位を確立します。平成初期には二刀流の研究を開始し、二刀流のスタイルで剣道八段審査に合格し、史上二人目の二刀流八段となります。2010年5月には剣道範士を授与され、彼の剣道家としての偉業が正式に認められました。

2016年12月22日に戸田は生涯を終えましたが、その遺産は剣道界に今なお生き続けています。通夜や告別式は、高輪の高野山東京別院にて執り行われ、多くの愛弟子や剣道仲間が彼を悼みました。

戦績

世界剣道選手権大会

• - 団体: 第1回（昭和45年）　優勝（日本）
• - 個人: 第1回（昭和45年）　準優勝

全日本剣道選手権大会

• - 第9回（昭和36年）　ベスト8
• - 第10回（昭和37年）　優勝
• - 第11回（昭和38年）　準優勝
• - 第12回（昭和39年）　優勝

全日本実業団選手権大会

• - 第4回（昭和36年）　優勝（東レ滋賀）
• - 第5回（昭和37年）　準優勝（東レ滋賀）
• - 第7回（昭和39年）　優勝（東レ滋賀）
• - 第9回（昭和41年）　3位（東レ滋賀）
• - 第11回（昭和43年）　優勝（東レ滋賀）
• - 第20回（昭和52年）　3位（東レ滋賀）

人物

戸田の晩年には、彼の剣道スタイルに変化が見られました。一般的には左手に大刀、右手に小刀の正二刀の構えが知られていますが、彼は逆二刀の構えに挑戦しました。これは、右手に小刀、左手に大刀を持ち、右足を前に出すスタイルであったものの、左上段の構えの足運びを取り入れたもので、自身の剣道への情熱を示しています。彼の独自のスタイルと成果は、後の剣道界にとって貴重な財産となりました。

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