戸田流 (小城藩)

戸田流剣術の概要

戸田流（とだりゅう）は、福岡県の小城藩で発達した剣術の流派で、武士に対する武道教育の一環として発展しました。この流派の特徴は、十二の型を基にした独自の技術体系で、歴史的な背景を持ち、名門の納富家によって代々受け継がれてきました。

歴史的背景

戸田流は、戸田小八郎によって創設されました。彼は武士として知られる富田勢源の門下にあたり、すぐに鐘巻自斎の弟子としてその知識を深めました。鐘巻自斎からは中条流の剣術を吸収した後、上泉伊勢守の教えを受けることで、戸田流に新影流の要素を加えました。こうした豊かなバックグラウンドによって、戸田流は単なる武道に留まらず、精神性や伝承も大切にする流派として知られるようになりました。

流派の流れを辿ると、初代の戸田小八郎から数世代にわたって納富家がその技術を継承し続けてきました。納富家は、戦国時代からの武士教育に対し、長年にわたり剣術を教え続け、その影響は広がっています。

また、戸田流の師範であった納富教雄は大日本武徳会において剣道範士になり、多くの弟子を育てました。その中には、著名な江藤新平の孫である江藤冬雄も含まれ、彼は15歳で納富教雄に入門し、四年間にわたり厳しい修行を経て12の型を習得しました。江藤はその後も自己研鑽を続け、多くの弟子を指導し、戸田流の伝承をさらに広めました。

戸田流の技術

戸田流の剣術は、十二の型を基に構成されています。これらの型は、剣の使い方や戦闘技術を体系的に学ぶための土台となっています。具体的には、以下のような技があります:
1. 残月
2. 観截
3. 無二剣
4. 抜捨
5. 村雲
6. 進之請
7. 請
8. 出口
9. 諸手越
10. 片手越
11. 抜
12. 中忍刀

戸田流の特徴として、小太刀も重要な役割を果たしています。流派の形式では、小太刀は六本が必要とされています。これにより、スピーディな戦闘スタイルと複雑な技術の連携が可能になります。

系譜と伝承

戸田流の系譜は明らかにされており、伝書には上泉伊勢守の名が先行して記されています。戸田流の後継者には、戸田小八郎のほか、相浦源左衛門や納富源右衛門といった武士が名を挙げられています。納富家の直系として、教雄、教幸、教堅によって継承され、現代でもその技術はさまざまな形で受け継がれています。

教雄自らも多くの門弟を指導し、新しい世代に戸田流の技術を広め続けました。江藤冬雄の他にも、龍野亀吉、木原繁市、岸川辰次など、彼の弟子たちはそれぞれの地域で戸田流を普及させています。

参考文献

この流派についての詳細は以下の文献に記されています:

• - 大日本雄弁会講談社 編『武道宝鑑』
• - 小城町史編集委員会 編『小城町史』
• - 大分合同新聞「九州武芸帳（六）戸田流刀術」

戸田流は、単なる武道の体系であるだけでなく、日本の武士道精神を内包した重要な文化遺産であり、今日もその教えは受け継がれています。

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