所職

所職（しょしき）について

所職は、官職や不動産などに付随する様々な経済的な収益権を指し、これらは財産として譲渡、売買、質入などの対象となります。元々は、職務を担う官職に関連して使用されていましたが、次第にその意味が広がり、経済的な権利としての性質を持つようになりました。

概要

特に、所職は官職に伴い、その在任中に受ける報酬として給田や給名が支給されることで成り立っていました。在職中はその報酬が享受されますが、職を離れることでその権利は給付者に没収されるため、職務とその経済的な利益は非常に密接に関連していることがわかります。こうした背景により、所職は次第に一種の財産権と見なされるようになり、その重要性が増していきました。

10世紀以降、荘園や寺院、国衙の役人の間で、様々な職が形成されるようになりました。所職の概念は確立されていき、時代が進むにつれて、その実務内容とは関係なく譲渡や売買が行われるようになります。これは、相続や質入れの対象としての性質を持つことを意味します。

時代ごとの変遷

中世に入ると、地頭が設置されることに伴い地頭職が生まれ、この職もまた経済的な価値を持つようになりました。また、名主や作人と呼ばれる人々の間でも名主職や作職が出現し、新たな所職が次々と登場しました。これにより所職は、経済的活動の対象となり、社会全体の経済に重要な役割を果たすことになったのです。

たとえば、荘園における所職は、その運営に必要不可欠な雇用や経済活動に関連し、資源の分配や収益の管理を担当する者に多くの権利を与えました。こうした官職は、地方の自治や経済活動においても重要な役割を果たしていました。

このように、所職は権限の移転や財の配分においても大きな影響を及ぼし、個人やコミュニティにとって、経済的な基盤を形成する重要な要素であったといえるでしょう。所職の概念を通じて、当時の社会の経済的な構造や人々の生活がどのように影響を受けていたかを考えることは、歴史の研究において大変重要な視点と言えます。

参考文献

• - 棚橋光男「所職」（『国史大辞典 7』（吉川弘文館、1986年） ISBN 978-4-642-00507-4）
• - 今井林太郎「所職」（『日本歴史大辞典 5』（河出書房新社、普及新版:1985年） ISBN 978-4-309-60905-8）

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