手光波切不動古墳

手光波切不動古墳

手光波切不動古墳（てびかなみきりふどうこふん）は、福岡県福津市手光に所在し、津屋崎古墳群を成す一つの古墳として位置づけられています。福津市によって指定された史跡でもあり、その歴史的意義が高く評価されています。

概要

この古墳は福岡県北部の宮地岳山麓に広がる丘陵の先端部（標高22-27メートル）に築かれており、津屋崎古墳群の最南端に位置しています。古墳は長い間開口しており、墳丘の周囲も削平されています。1992年には石室の実測調査が行われ、2010年から2011年には墳丘の測量と確認調査が実施されました。

古墳の形状は詳細には判明していないものの、現在の大きさは直径20メートル、高さ9メートルと記録されており、元の直径は約25メートルと推測されています。埋葬施設には横口式石槨系の横穴式石室が設けられ、南南西方向に向けて開口しています。この石室は全長10.8メートルの大型で、石材には巨大な玄武岩が使用されています。

埋葬施設

手光波切不動古墳の石室は横口式石槨に典型的な構造を持ち、羨道と玄室があり、奥室は狭くなって健全に区分されています。具体的な石室のサイズは以下の通りです：

• - 石室全長：10.8メートル
• - 奥室：長さ2.1メートル、幅1.3メートル、高さ1.9メートル
• - 前室：長さ1.8メートル、幅1.6メートル、高さ2メートル

石室内は全体的に巨石が使用され、側壁には各5石、奥壁には1石が使われています。また、床には奥室と前室、羨道の一部に板状の石が配置され、土砂の下には敷石が発見されています。天井には複数の石が支持されています。興味深いことに、奥室と前室の間には仕切り石が設けられ、この石には特徴的な凹みが見受けられることが九州地方特有です。

埋葬品は石室内部の調査では詳細が明らかになっていませんが、石室前の墓道では木棺部材や鉄製品、馬具、須恵器などが見つかっています。これは古代の文化や技術を理解するための貴重な材料となっています。

出土品

2011年度の調査から、墓道で発見された主な遺物は以下の通りです：

• - 木棺部材
• - 鉄釘、鎹
• - ガラス玉
• - 鉄製品、鉄鏃片、鉄刀片
• - 馬具（輪鐙や轡、辻金具、金銅製鞍金具）
• - 須恵器片（高坏、器台）
• - 新羅土器片（細頸壺）

中でも須恵器の器台は沖ノ島祭祀遺跡に類似する点があり、特に注目されています。

文化財としての価値

手光波切不動古墳は1982年に福間町指定の史跡となり、現在は福津市の指定文化財として重要視されています。この古墳は、古代の宗像地域における政治や文化を考察するうえで不可欠な遺跡とされており、研究者や歴史愛好家にとって興味深い研究対象となっています。続いて新しい調査が行われることで、さらなる知見が得られることが期待されています。

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