参拝

参拝とは

参拝とは、神社、寺院、教会、墓廟などの宗教施設を訪れ、神仏や死者に拝む、または祈る行為のことです。祈願者本人が直接参拝するだけでなく、代理の者が行う代参や、遠方から神仏を拝む遥拝といった形式もあります。参拝と似た言葉に参詣がありますが、参拝は拝む行為に重点が置かれる一方、参詣は社寺へ行く行為に重点が置かれています。ただし、一般的には両者はほぼ同義として扱われます。複数の社寺を巡って参拝する行為は、巡礼・巡拝と呼ばれます。

参拝作法

日本の社寺における一般的な参拝作法は、以下の通りです。

1. 鳥居や門の前で一揖：宗教施設に入る前に、軽くお辞儀をします。帽子を被っている場合は脱ぎましょう。
2. 手水舎で手と口を清める：神仏に参る前に身を清めるための行為で、神社の場合は略式の禊となります。
3. 賽銭箱に賽銭を入れる：静かに賽銭を入れましょう。
4. 鈴や鰐口などを鳴らす：鈴を鳴らしてから賽銭を入れるという考え方もあります。
5. 拝礼：神社の場合は二拝二拍手一拝、寺院の場合は合掌を行います。

ただし、社寺によっては上記と異なる作法が定められている場合もありますので、指示に従いましょう。

神社の特殊な拍手：出雲大社や宇佐八幡では四拍手、伊勢神宮や熱田神宮では神職のみが行う八開手があります。
拝礼の深さ：神社によっては、最初のお辞儀を浅く、最後のお辞儀を深くするように指示されることもあります。
祈願：一般的には、拍手と一拝の間、または合掌の際に神仏に祈願を行います。寺院で手を合わせるのは、インドなどでの挨拶に由来します。
祝詞：神社で祝詞を唱える場合は、二拝二拍手一拝の間に行ったり、再拝後に唱えて再度二拝二拍手一拝を行ったりします。

正式参拝

社頭での略式参拝の他に、拝殿に上がって行う正式参拝があります。正式参拝を希望する場合は、社務所でその旨を伝え、拝殿に上がります。神職による修祓や祝詞奏上の後、神前に玉串を捧げて拝礼します。この場合も、基本的には二拝二拍手一拝ですが、神職の指示に従いましょう。その後、直会として神酒をいただくこともあります。

歴史

古代の参拝は、近所の神仏を訪れることが一般的でしたが、平安時代頃から遠方の社寺へも参拝するようになりました。平安時代末期には、貴族を中心に熊野三山、高野山、伊勢神宮への参詣巡礼が盛んに行われ、特に熊野詣は多くの人々が訪れる人気ぶりでした。その様子は「蟻の熊野詣」と呼ばれるほどでした。

近世に入ると、交通網が整備され、庶民も遠出をするようになり、伊勢神宮、金刀比羅宮、善光寺などへ全国から参詣者が訪れるようになりました。遠方への参詣には費用がかかるため、講を組織し、お金を出し合って代表者が代参するという習慣も生まれました。また、伊勢神宮への参詣では、道中で無一文になっても沿道の人々の援助によって旅が続けられるという「抜け参り」という風習もありました。これは、援助した人も参詣した人と同じ御利益が得られると考えられていたためです。

天皇の参拝

天皇が神社を参詣する場合、歴史的には行幸という言葉が用いられます。天皇が自ら拝礼する場合は親拝と呼び、勅使を介さず直接拝礼することを指します。天皇が神宮や天皇陵を親拝する場合には、親謁と呼びます。

関連情報

参宮：伊勢神宮への参拝
巡礼：複数の聖地を巡る参拝
初詣：新年最初の参拝
幸先詣：新年が明ける前に参拝すること
お蔭参り：伊勢神宮への集団参拝
初宮参り：生まれたばかりの子供が初めて神社にお参りすること
お百度参り：特定の神仏に百回お参りすること
インターネット参拝：オンライン上での参拝
海豚参詣：イルカ、クジラ、サメが寺社に参詣するという伝承

外部リンク

お参りのいろは 参拝方法 - 神社本庁
おまいりのしかた - お宮キッズ（全国神社総代会）
参拝と祈祷 - 神社と神道（神社オンラインネットワーク連盟）

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