手甲鉤

手甲鉤（てっこうかぎ）は、日本の武術において用いられた特殊な武器、暗器の一種です。手鉤（てかぎ）とも呼ばれます。特に忍者が暗殺や隠密行動のために使用したと伝えられています。

形状は熊手に似ており、使用方法に応じて主に2つのタイプが存在します。一つは手の甲に装着するタイプで、もう一つは手のひらに隠して装着するタイプです。手のひらに装着するものは、特に手掌（しゅしょう）と呼ばれることもあります。

手甲鉤の起源は、意外にも草刈りなどの農作業で使用される道具であったとされています。この道具が、後に武器として転用されたと考えられています。

手甲鉤の用途

攻撃: 鋭利な爪で敵を直接攻撃します。引っ掻く、突き刺すなど、様々な攻撃方法があります。
防御: 敵の刀剣を受け止めるなど、防御具としても使用されます。ただし、あくまで補助的な防御手段です。
登攀: 爪を樹木や石垣に打ち込み、壁をよじ登るための道具として使用されます。忍者が城壁を乗り越える際などに役立ちました。
開器: 堅い土を掘ったり、土塀に穴を空けたりするための道具として使用されます。侵入経路を確保する際に用いられました。

このように、手甲鉤は単なる武器としてだけでなく、様々な用途に利用できる多機能な道具でした。忍者の活動を支える重要な装備の一つであったと言えるでしょう。

フィクション作品における手甲鉤

手甲鉤は、その独特な形状と忍者のイメージから、漫画、アニメーション、ゲームなどのフィクション作品にも頻繁に登場します。手甲鉤をモチーフにした武器や、手甲鉤を操るキャラクターも数多く存在し、作品に独特な彩りを添えています。

参考文献

『歴史群像シリーズ【決定版】図説・日本武器集成』（学習研究社）
『歴史人 2011年8月号』（KKベストセラーズ）

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