手間要害

手間要害（てま ようがい）

手間要害は、鳥取県西伯郡南部町寺内に存在していた城で、別名「天満山城」や「天万要害」とも呼ばれています。この城の築城時期は定かではありませんが、日野氏によって築かれたのではないかとされています。しかし、城の遺構の規模や構造から考えると、日野氏以降に杉原盛重などの武将によって拡張が行われた可能性が高いとされています。

歴史的背景

戦国時代に手間要害には日野孫左衛門が登城しており、永禄3年（1560年）には杉原盛重が尼子氏に備えて天満山普請を実施しました。このことから、手間要害は軍事たけぞ必要な拠点としての役割を果たしていたことがわかります。永禄年間の初めには、毛利氏に降った日野孫左衛門が、同年の5年後に尼子氏へ復帰したことにより、毛利氏は西伯耆の軍事拠点を失い、これに大きな衝撃を受けました。

その後、永禄6年（1563年）の4月には片山平左衛門尉が「天満固屋」を攻撃し、奪還に向けた行動を起こしました。翌年、1564年の早い時期には再び手間要害が取り戻され、杉原盛重が入城し、彼の家臣の菖蒲左馬充ら300名が配置されることとなりました。

手間要害はその後20年ほどの間、文献から姿を消しがちになるものの、この期間中も杉原一族が引き続き城に入っていた可能性があります。天正12年（1584年）には杉原景盛が自刃した際、手間要害も落城し、杉原氏にとって重要な拠点であったことが伺えます。また、天正19年（1591年）には毛利氏が西伯耆に持っていた城の中に「手間」の名前が見えることからも、戦略的な重要性が浮き彫りになります。

遺構の状況

手間要害の遺構は主に標高329mの手間山に位置しており、広範囲に及ぶものとなっています。山頂近くの主郭部の中央では、発掘調査によって4×6間以上の掘立柱建物、井戸の跡、土塁などが確認されています。

さらに、主郭部から南へ50mの地点、標高317m付近にも曲輪群が存在し、西側には4段の郭の構造と「小屋」という地名が残っています。また、主郭部の北70mの場所にも階段状の曲輪が5つあり、その北東50m先には広い単独の曲輪が発見されています。手間山の隣には膳棚山（標高130m）もあり、こちらにも曲輪群が存在しており、「天満固屋」との関連性も指摘されています。

参考文献

• - 会見町教育委員会 『会見町文化財報告書 手間要害発掘調査報告書Ⅱ』 1991年3月
• - 高橋正弘著 『因伯の戦国城郭 通史編』 1986年11月
• - 鳥取県教育委員会 『鳥取県中世城館分布調査報告書 第2集(伯耆編)』

手間要害は、その歴史と遺構の大規模な規模から見ても、戦国時代の重要な城郭の一つであったことは明白です。

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