承子内親王

承子内親王の生涯について

承子内親王（しょうしないしんのう）は、平安時代中期の重要な皇族の一人であり、村上天皇の第一皇女です。彼女の母親は、藤原師輔とされる名門の娘・安子で、承子内親王は一度も政治的な舞台に立たないまま、短命ながらその存在感を示しました。承子内親王の誕生は、藤原師輔にとって特に期待されたものでありましたが、彼は男子の誕生を待望していました。ところが、承子内親王が女子として生まれたため、一時的な失望を招いてしまったと言います。

彼女の誕生日、つまり天暦3年の2月には、内親王宣下が行われ、正式に内親王の地位を授かることになります。この儀式は、承子内親王にとって重要な意味を持ち、彼女が皇族としての役割を果たすための第一歩となりました。その後も、同年11月には魚味始の儀が行われ、彼女は大切に扱われました。これは当時、女子が皇族に生まれた際の重要な儀式の一つであり、内親王としての立場を強化するものでした。

さらに、天暦4年（950年）の10月4日には、着袴の儀が行われました。この儀式では、なんと父である村上天皇自らが、承子内親王の袴の腰を結ぶという、非常に愛情深い場面が展開されました。これは内親王にとって特別な動きであり、父親の愛情や期待を強く感じる瞬間であったでしょう。

しかし、その幸福な日々は長くは続きませんでした。翌年の天暦5年（951年）7月、承子内親王の健康が急激に悪化し、彼女はわずか4歳という若さでこの世を去ってしまいました。この突然の死は、当時の朝廷にとって大きな衝撃を与えただけでなく、彼女の家族にとっても悲劇的な出来事でした。

彼女の短い人生は、平安時代の女性の立場や皇族としての存在を浮き彫りにしています。承子内親王が生まれてから4年余りの僅かの間に、多くの儀式を経て大切に育てられ、皇族としての役割が期待されたことは、平安時代の社会や文化における女性の地位を考察する上でも非常に興味深い素材を提供しています。また、彼女の死は、藤原氏と天皇家との関係性、さらには当時の人々の生死観も反映していると言えるでしょう。承子内親王の早世は、平安時代の皇族が抱える運命の厳しさを示しているのかもしれません。

参考文献

• - 芳賀登他監修 『日本女性人名辞典』 日本図書センター、1993年。
• - 志村有弘編 『天皇皇族歴史伝説大事典』 勉誠出版、2008年。

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