抗争事件

抗争事件

抗争事件とは、主に暴力団や政治団体といった、ある特定の業界における勢力争いを指す言葉です。特に、暴力団組織同士が話し合いではなく、暴力を用いて相手の組織を攻撃したり、報復を繰り返したりする反社会的な事件を指すことが多いです。左翼政治団体同士の暴力的な争いは、一般的に内ゲバと呼ばれます。

ただし、これらの定義は現代の日本社会における語の社会的、法的な意味合いに基づいています。歴史的な視点で見ると、戦前の軍による政治的テロや、外国におけるクーデターなども、広義の抗争事件に含まれる可能性があります。

特徴

暴力団組織同士の抗争では、主に拳銃や刀、手榴弾、ダイナマイトなどの爆発物などが武器として使用されます。抗争に使用される拳銃は、その多くが海外からの密輸入に依存しています。裏社会で売買される拳銃の主な製造国は、米国、フィリピン、欧州、ロシア、中国、ブラジルなどです。その他には、モデルガンを改造した改造銃や、旧日本軍の旧式銃などが使用されることもあります。

近年では、「銃1丁は組員10人に匹敵する戦力」「組員1人に銃1丁」という考え方が広まり、拳銃に加えて、より殺傷能力の高い散弾銃や自動小銃などの銃器、手榴弾やダイナマイトなどの爆発物、火炎瓶、催涙ガスなどが使用されるケースも見られ、暴力団の武装化が一段と進んでいます。これらの武器は、フィリピンや米国などの諸外国から貨物などに隠匿されて密輸入されたり、国内で密造や改造されたりしています。暴力団の間では、拳銃1丁が数十万円で売買されています。暴力団の武器庫から連射可能な強力な銃器が押収されたケースもありますが、それらを使用した際の重い刑罰（使用で無期懲役、射殺した場合死刑という判例があります）もあり、拳銃が使われることが圧倒的に多いのが現状です。沖縄の抗争事件ではM16自動小銃やイングラムM10短機関銃が使用されたこともありますが、地方によっては学生運動のように投石や火炎瓶が使われる地域もあります。近年は、組員の出頭を避ける傾向が強まっており、2006年には福岡県で改良型カラシニコフ自動小銃（AK74）を使用した事務所襲撃事件、2009年にも同県で改造サブマシンガンによる事務所襲撃事件が発生するなど、強力な銃器を使用する事例も出てきています。また、銃刀法違反や発射罪といった重い刑罰を避けるため、トラックやクレーンなどの大型車両を組事務所に突入させる事例も増加しています。

拳銃に関しては、戦後には進駐軍が横流しをしたと思われるM1911コルトガバメントが多く出回りました。70～80年代には、フィリピン製の「CRS拳銃」と呼ばれる密造拳銃が多数流通していました。「CRS」とは、コルト（C）、レミントン（R）、スミス&ウェッソン（S）などの有名メーカーを模倣した拳銃という意味で、粗悪なものが多く、銃身が破裂して負傷するなどの事故も起きていました。90年代には中国製のトカレフ型拳銃である「54式手槍」が、2000年以降はロシア製のマカロフ拳銃が押収される代表的な拳銃となっています。スミス&ウェッソン製の回転式拳銃は、戦後から現在に至るまで多く流通しています。また近年では、ブラジルのメーカーであるタウラス社製の回転式拳銃の押収量が増加しています。

抗争事件では、一般市民や警察官が巻き添えで死傷することも少なくありません。敵対組員と誤認されるケースが多いですが、宅見勝若頭射殺事件や前橋スナック乱射事件のように、流れ弾による死傷者も発生しています。

かつては、抗争事件の犯人は替え玉を含めて警察に自首することが多かったのですが、現在では暴力団対策法の厳罰化により、抗争事件で市民や警察官に危害が加わると警察が厳しい取り締まりを行うため、抗争が起こると速やかに手打ちを行うこともあり、抗争事件の検挙率は低下しています。また、警察発表では内部抗争は抗争事件と見なされないため、実際に発生した抗争件数と警察発表との間に差が見られることがあります。

主な抗争事件 (暴力団同士の抗争に限定)

（20世紀から21世紀にかけて多数の抗争事件が記載されています。ここでは省略します。）

関連項目

内ゲバ
極道
ヤクザ
裏社会

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