イングラムM10

イングラムM10 (MAC-10)

イングラムM10、また通称MAC-10は、アメリカ合衆国で設計された短機関銃です。小型であり、マシンピストルとしても分類されることがあります。この銃は、特殊作戦向けに開発された特徴を持ち、様々な国家や組織で使用されてきました。

概要

イングラムM10の設計は、1945年の第二次世界大戦後に遡ります。デザイナーであるゴードン・イングラムは、初めて手掛けた短機関銃としてM5を開発しました。その後、M6、M7、M8といったモデルも次々と発表され、1964年にはM10の設計がなされました。M10は、これまでのモデルと比べてシンプルな構造を追求し、特に第三世界市場を意識した設計となっています。

初期の試作モデルはフルオート射撃専用で、9x19mmパラベラム弾を使用ました。しかし、受注がなく生産は行われていませんでした。1969年、イングラムはSIONICS社に移籍し、そこで共同でサプレッサーを装備した.45ACP弾モデルを開発。これが実戦で使用されることになります。

特徴

M10はオープンボルト方式を採用し、シンプルなブローバック機構により軽量化を実現しています。その製造には主にプレス加工が使用され、部品の生産性が非常に高く、作動不良が発生しにくい堅牢なデザインです。また、セミオートとフルオートのモード切り替えが可能なセレクタースイッチや、安全装置も備えています。特に独特なのは、サプレッサー用に設計されたねじ付きの銃身です。

この銃の発射速度は非常に高く、32連装弾倉をわずか1.5秒で射撃できるため、操作には熟練が必要ですが、その撃破力は高く評価されています。.

運用

イングラムM10は、特にベトナム戦争の際にアメリカ軍の特殊部隊に採用されました。小型のサブマシンガンとして、特殊作戦部隊やSWATなどでも活躍しました。しかし、その精度の低さから誤射の事故も報告されており、近年ではより高精度なH&K MP5などにその役割の一部が取って代わられています。

バリエーション

M10の小型バージョンとして、M11があります。これは1969年に開発され、.380ACP弾を使用するよう再設計されています。また、SWD社やコブライ社によって改良版が現在も製造されていますが、元のM10の特性を維持しつつも射撃性能が向上しています。

アメリカにおける使用

イングラムM11は、アメリカのフルオート射撃競技でも使われています。安価なため、個人でも手に入れやすいのですが、高速射撃能力を持ち、カートリッジの頻繁な交換を必要とするなど、扱いには工夫が求められます。また、競技向けに改善されたバージョンも数多く流通しており、射撃精度向上のための改造キットも出回っています。

採用国

この短機関銃は、ブラジル、チリ、キューバ、フィリピン、ポルトガル、イギリス、アメリカ、そしてユーゴスラビアなど、さまざまな国で使用されています。特に特殊作戦や警察の特殊部隊において、その能力が高く評価されてきました。

結論

イングラムM10は、その独自の設計と多彩な運用が魅力の短機関銃です。現在でもアメリカを中心に様々な改良型が生産され、様々なケースで利用されています。アメリカの戦術を支えた武器の一つとして、その歴史は重要な位置を占めています。

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