折渡トンネル

折渡トンネルについて

折渡トンネル（おりわたりトンネル）は、秋田県由利本荘市に位置する鉄道トンネルで、東日本旅客鉄道（JR東日本）の羽越本線羽後岩谷駅と折渡駅を結ぶ重要なインフラです。このトンネルは、上下各1本の単線トンネルで構成されており、下り線のトンネルは1,438メートル、上り線の新折渡トンネルは1,705メートルの長さを誇ります。特筆すべきは、このトンネルが日本におけるシールド工法を初めて採用したものである点です。

歴史背景

折渡トンネルの建設に関する歴史は1917年にさかのぼります。羽越北線の開業を目指して、当トンネルの工事が始まりました。しかし、掘削作業は非常に困難を極め、多くの困難と遅延が伴いました。この状況を受け、1919年には当初依頼していた建設会社との契約の一部を解消し、トンネル工事が鉄道省の直接管理下に置かれることになりました。

工事は1920年にシールド工法で開始されましたが、しかし、1923年には工法が在来工法に切り替えられることとなります。それでも、1924年には頂設導坑が貫通し、同年の4月19日にはトンネルが完成しました。その翌日、開通に伴い正式に供用が開始されました。

技術の進展と新トンネル

トンネルのシールド工法を用いた工事に関する知見も、後々の建設技術の進展に寄与しました。1969年には、新たに複線化に向けた新折渡トンネルの起工式が行われ、2年後の1971年にはトンネルが無事貫通しました。1971年11月には、現行の線路が新折渡トンネル経由に変更され、同時に旧トンネルは交流電化用に改築されることになりました。

この工事中には、シールドの一部が発見され、現在その一部は鉄道総合技術研究所に保存されています。このような経緯で、折渡トンネルは技術と歴史の両方で重要な役割を果たしてきたことがわかります。

記念碑と遺産

折渡トンネルの近くにある羽後岩谷側の坑口付近には、竣工を記念する碑と、工事に従事中に殉職された方々を供養するための碑が建立されています。これにより、このトンネルが持つ歴史的意義と、その建設に関わった人々への敬意が表されています。

折渡トンネルは、現在も多くの列車が通行する重要な通路として、地元の交通網に欠かせない存在です。

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