押しボタン式信号機

押しボタン式信号機について

押しボタン式信号機（おしボタンしきしんごうき）は、主に歩行者の交通安全を守るための信号機です。このシステムは、歩行者が信号を要求する際に押すボタンを用いて、信号の色が変わる仕組みです。日本においては、1934年に最初の押しボタン信号機が東京市蒲田区に設置されて以来、全国各地で利用されています。

歴史

押しボタン式信号機は、1934年（昭和9年）7月に東京で初めて導入されました。このシステムは、歩行者が安全に道路を渡るための手段として広がりを見せてきました。特に、交通量が多い地点において、歩行者の信号をコントロールする重要な役割を果たしています。

動作方式

押しボタン式信号機は、地域によって異なる動作方式を持つことが特徴です。主な方式には以下の2つがあります。

1. 常時幹線青方式

この方式では、横断要求がない場合は車両用信号が常に青で表示されます。押しボタンが押されると、信号は直ちに黄色に変わり、その後赤に切り替わります。もし押しボタンを押すタイミングが、青信号の表示時間内であれば、青信号が切れた後すぐに信号が変わります。この仕組みは、自動車の流れを妨げないように、近くの信号機と連動することもあります。

2. 幹線閃光方式

この方式では、横断要求がないときは信号が黄色点滅で表示されます。ユーザーが押しボタンを押すと、信号が青に変わり、その後に黄色を経て赤色になります。注意点として、他の交差点では、歩行者信号が赤に変わってから車両信号が青に切り替わることがあります。この方法は、日本の中部地方や一部の近畿地方で見られます。

近年では、渋滞や事故を減少させるため、多くの信号機が常時幹線青方式に移行していますが、見通しの悪い交差点などでは幹線閃光方式に変更されることもあります。

設置状況

押しボタン式信号機の設置には、24時間稼働するものや特定の時間帯にのみ機能するものがあります。夜間に交通量が少ない場合には、押しボタン式の動作に切り替わる夜間押ボタン式信号機が用いられます。また、交通弱者への配慮として、専用のボタンが設けられていることもあります。このボタンは、通常のものよりも長い横断時間が設定され、安全に渡ることを助けます。

標示と表示

押しボタン式信号機には、「押ボタン式」や「夜間押ボタン式」といった標示板が設置されています。これらの表示は地域によって異なり、例えば近畿地方の奈良県では「押ボタン信号」と表記されることが多いです。近年では、視認性向上のために文字の色が見直され、白色の表示が導入されています。

海外の押しボタン式信号機

イギリスでは、「ペリカン・クロッシング」や「トゥカンクロッシング」と呼ばれる押しボタン式信号機が存在します。これらは、歩行者や自転車用の信号機が含まれており、交通事故防止に寄与しています。

注意点

押しボタンを押さずに信号が赤であるにもかかわらず道路を渡る行為は、危険であり法律違反となります。安全のために、必ずボタンを押してから信号が変わるのを待って渡ることが推奨されます。

以上のように、押しボタン式信号機は交通安全のために重要な役割を果たしており、そのシステムや設置状況、動作方式には多様性があります。

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