押込

押込（おしこめ、押籠）

押込とは、中世から近世にかけて日本で施行された刑罰の一つです。この制度は、主に武士や庶民を対象に、自宅の前に戸を立てることでその空間を閉鎖し、一定期間出入や通信を制限するというものです。このような措置は、いわゆる「座敷牢」として知られています。

歴史的背景

平安時代には、検非違使によって生命に危険を及ぼす杖刑や笞刑を代替的に使用する方法として、一定の期間受刑者を監禁する「召禁」という刑罰が導入されました。鎌倉時代においては、御成敗式目に召禁や召籠といった刑罰が存在し、特に喧嘩や侮辱の罪に適用されていました。

中世の中期以降、押込は獄舎以外の建物で行われることも多くなり、特に自らの居所にて施行される押込はどのような罪であっても適用可能な軽い刑罰と見なされました。江戸時代には特定の軽罪に対して、自由刑の形式として押込が実施されるようになりました。

江戸時代の押込

江戸幕府の公事方御定書によると、武士が主君から受けた宅地を質に入れて訴訟になった場合や、小規模な失火などが原因で押込の刑が適用されました。押込は、通常20日以上100日以下の期間にわたり施行され、対象者はこの期間、自らの自宅から出ることができませんでした。

押込は、他の刑罰と異なり、武士と庶民の両方に適用される点が特徴です。他の方法、例えば閉門や逼塞、遠慮は陽は武士に、戸〆は庶民に限定されていましたが、押込はそれぞれの身分に関わらず均等に施行されました。このことから、戸〆よりも軽い刑罰として位置付けられていたと言えるでしょう。

奉行による白州の場で言い渡しが行われる際、対象者は差添人と共に請書を交わし、刑期が満了した時には免罪が言い渡されることもありました。さらに、特例として終身にわたる押込や名目のみの謹慎措置も存在しました。

主君押込との関連

また、中世から近世にかけての大名家において実施された主君による強制隠居、いわゆる「主君押込」も、押込の一種として考えられることが多いです。これは、目立った罪がなくても自身の主君によって不当に幽閉されるケースも含まれるため、制度としての歴史的な観点から見逃せない要素となっています。

参考文献

• - 石井良助『江戸の刑罰』中公新書（1974年3月15日）
• - 大久保治男『江戸の犯罪と刑罰 ― 残虐・江戸犯科帳十話 ―』高文堂出版社（1988年1月15日）
• - 滝川政次郎『日本行刑史』青蛙房（1972年11月20日）

押込は日本の歴史の中で独特の役割を果たした刑罰制度であり、その影響は今日まで続いていると考えられています。

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