拓殖短期大学

概要

拓殖短期大学は、学校法人拓殖大学が運営していた日本の私立短期大学です。東京都文京区に本部を置いていました。第二次世界大戦後の新しい学制のもと、1950年に国内で最初に認可された短期大学の一つとして「紅陵短期大学」の名称で開学し、1952年に現在の名称に改称しました。設立当初は2学科体制でしたが、一時期3学科を経て再び2学科体制となり、2002年度の学生募集を最後に、2005年に閉学しました。

歴史

本学の歴史は、1949年に短期大学設置の認可申請が行われたことに始まります。1950年3月14日に認可を得て、同年4月1日、紅陵短期大学として開学しました。開学当初は経済科第二部（後に経営科第二部）と貿易科第二部の二つの学科が設置されていました。その後、1952年4月1日には、校名が正式に拓殖短期大学に変更されています。

学科構成には変遷があり、1955年には農業経済科が増設され、一時的に3学科体制となりましたが、1965年度をもって同学科の学生募集を停止し、1968年には廃止され、以降は経営科と貿易科の2学科体制が続きました。貿易科は一時期、群馬県に分校として移転したこともありましたが、後に文京区の本校に統合されました。

少子化や高等教育を取り巻く環境の変化に伴い、本学は2002年度入試をもって学生の新規募集を停止しました。そして、在学生が全て卒業した後の2005年10月4日、文部科学省から正式に廃止の認可を受け、約55年間の歴史に幕を下ろしました。

教育および研究

本学に設けられていた学科は、企業経営に関する専門知識を学ぶ「経営科」と、国際取引に必要な実務能力と語学力を養う「貿易科」が中心でした。経営科では、会計や経営、情報管理といった企業活動に直結する実務系の科目を深く学びました。一方、貿易科は、全国の短期大学の中でも珍しい名称であり、国際的なビジネスシーンで活躍するための実践的な能力育成を目指しました。カリキュラムにはビジネス英文ライティングが含まれるなど、国際感覚を磨くための特徴がありました。また、中学校教諭二級免許状（職業）の取得も可能でした。

学風および特色

拓殖短期大学の大きな特色の一つは、勤労学生に学びの機会を提供するため、夜間部を設置していたことです。これは、仕事を持ちながらも高等教育を受けたいと願う人々のニーズに応えるためのものでした。教育内容においては、系列の拓殖大学商学部と類似した分野を扱っていました。特に、拓殖大学商学部が学年によってキャンパス移動が必要であったのに対し、本学は文京区に一貫して所在していたため、本学から拓殖大学商学部の3年次に編入学することで、引き続き同じ文京キャンパスで卒業まで学ぶことができるという地理的な利便性がありました。この編入学制度は、多くの学生に活用されていたようです。

組織・施設・関係者

大学組織としては、経営科と貿易科の二つの学科が置かれていました。専攻科や別科はありませんでした。施設は、拓殖大学の文京キャンパスを大学と共同で使用しており、短期大学独自の建物や寮は設けられていませんでした。同窓会組織については、拓殖大学と共通の「拓殖大学学友会」がありました。本学出身者には、格闘家・政治家の須藤元気氏や柔道家の妹尾ひでみ氏などがいます。

卒業後の進路

卒業生の進路は多岐にわたりました。本学には働きながら学ぶ学生も多かったため、必ずしも全ての卒業生が新規の就職活動を行ったわけではありませんでしたが、一般企業や官公庁などに進む者もいました。また、四年制大学への編入学も重要な選択肢であり、系列の拓殖大学商学部への編入学が最も多かったものの、その他にも国公立や私立の多様な大学への編入学実績がありました。

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