拓跋紹

拓跋紹（たくばつ しょう）

拓跋紹（394年 - 409年）は、北魏の皇族であり、清河王に封じられました。彼の短い生涯は、北魏の宮廷における権力闘争と悲劇に彩られています。

生涯

拓跋紹は、道武帝と賀夫人（献明賀皇后の妹）の間に生まれました。403年に清河王に封じられます。しかし、彼は素行が悪く、教誨に従うことなく、街を遊び歩き、人々から物を奪ったり、動物を射るなど、傍若無人な振る舞いを繰り返しました。

409年10月、道武帝は賀夫人の不行跡に怒り、彼女を宮殿に幽閉し、殺害しようとしました。賀夫人は密かに拓跋紹に助けを求めました。これに応じた拓跋紹は、夜中に部下と宦官を率いて宮中に侵入し、道武帝を殺害するという大逆を犯します。

翌日、宮殿の門が開かれず、異変を察知した百官に対し、拓跋紹は詔と偽って彼らを召集し、「誰に従うか」と問い詰めました。王公たちは驚き、言葉を発することができませんでしたが、南平公長孫嵩が「王に従う」と答えました。しかし、群臣は事態を不審に思い、肥如侯賀泥が安陽城の北で兵を挙げ、旧賀蘭部の人々が集結し、他の部族も兵を集め始めました。

当時、拓跋紹の兄である拓跋嗣は宮廷の外にいましたが、異変を聞きつけると山中に潜伏し、北新侯安同と連絡を取り、兵を集めました。拓跋嗣が平城の西に進軍すると、衛士が拓跋紹を捕らえ、彼の元へ送りました。拓跋紹は母である賀夫人とともに死を賜り、内通した宦官や宮人たちも処刑されました。

人物

拓跋紹は、皇族としての地位にありながら、その素行の悪さで知られていました。彼の行動は、北魏の宮廷における道徳的退廃の一端を示しているとも言えるでしょう。また、母親を救うために父を殺害するという行為は、彼の衝動的で大胆な性格を物語っています。しかし、その結果は、彼自身の破滅だけでなく、多くの人々の命を奪う悲劇となりました。

評価

拓跋紹の生涯は、北魏の初期における皇位継承の不安定さと、権力闘争の激しさを象徴しています。彼の事件は、その後の北魏の歴史に大きな影響を与え、皇位継承のルールや宮廷内の権力構造に変化をもたらしました。

伝記資料

『魏書』巻16 列伝第4
『北史』巻16 列伝第4

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