拓跋長楽

拓跋長楽：栄光と没落の皇族

拓跋長楽（生年不詳 - 479年）は、北魏の皇族であり、安楽王の地位にありました。彼は文成帝と李夫人の間に生まれ、その重厚で落ち着いた性格から献文帝に寵愛されました。

立身と栄達

470年（皇興4年）に建昌王に封じられた後、475年（延興5年）12月には安楽王に改封されました。476年（承明元年）6月には、その才能を認められ太尉に任じられるなど、順風満帆な人生を送っているかのように見えました。

定州刺史としての転落

しかし、同年11月に定州刺史として赴任したことが、彼の運命を大きく狂わせます。定州において、彼は数々の不正行為を重ね、民衆を苦しめました。その悪行は目に余るもので、ついに民衆は長楽の不正を直接宮殿に訴え出る事態となりました。孝文帝はこれに対し、長楽に罰杖30を加えることで一旦の決着を図りました。

悪行の果て

しかし、この処罰は長楽を改心させることはなく、彼の収奪と暴虐はますます酷くなっていきました。見かねた朝廷は、彼を洛陽に召還することを決定します。そして、479年（太和3年）、長楽は内行長乙肆虎と共謀して反乱を計画していることが発覚し、ついに死を賜ることとなりました。王としての礼をもって葬られましたが、諡は「厲」とされました。彼の悪行が、死後もその名を汚すことになったのです。

子孫

長楽には元詮という息子がいました。元詮がどのような人生を送ったのかは、史料には詳しく記されていません。

評価

拓跋長楽は、当初は献文帝に愛され、太尉にまで上り詰めた人物でしたが、定州刺史としての悪行により、その地位を失い、最終的には反乱を企てて処刑されるという悲劇的な結末を迎えました。彼の生涯は、権力を持つ者がその力を濫用することの危険性を示す教訓として、後世に語り継がれています。

参考文献

『魏書』巻20 列伝第8
『北史』巻19 列伝第7

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