拝ケ石巨石群

拝ケ石巨石群について

拝ケ石巨石群（おがみがいしきょせきぐん）は、熊本県熊本市西区の金峰山東門寺地区に存在する遺跡です。地元では古くから「拝ケ石（おがみがいし）」と呼ばれ、民間信仰の場として崇められてきました。この巨石群は、金峰山の外輪山に位置し、最高峰のニの岳に向かって、最大約7メートルにも及ぶ巨岩がコの字型に立ち並ぶという特徴的な景観を呈しています。

巨岩の配置と構成

この巨石群の中心には、「夫婦石」と呼ばれる大小の巨岩が存在します。この夫婦石は、地震によって倒れたと伝えられており、その歴史を感じさせます。さらに、山を登ると、頂上石や亀石といったやや小ぶりな石が点在しているのが確認できます。

近年における調査と議論

1985年には、旧河内町（現在の熊本市）によって調査が行われました。この調査では、方位磁石が回転するなどの磁気異常現象が再確認されましたが、それ以上の具体的な成果は得られませんでした。磁気異常現象は、帯電性の高い岩石や鉄分を多く含む岩石の周辺では珍しいことではないため、最終的にこの巨石群は自然物であると結論付けられました。

しかし、一部ではこれらの巨石が人為的に運ばれたと考える説も存在します。この説では、巨岩にペトログリフ（古代岩刻文字）が刻まれており、それが古代シュメール語に似ていると主張されています。また、鏡石と呼ばれる高さ約6メートルの立石には、頂上に十字線があり、それがほぼ東西南北を指していること、さらに頂上部にはストーンサークルのような石積みがあることも指摘されています。ただし、これらの主張はあくまで推測や見立ての域を出ていません。

民間伝承

この場所には、弘法大師（空海）や菊池武重が関わっていたという伝承も存在します。しかし、景行天皇時代の由来とされる祭りが今も残るこの地において、これらの伝承は記録として希薄です。また、彼らが「拝んだ」という言い伝えは残っていますが、「造った」という記録は見当たりません。

アクセス

拝ケ石巨石群へは、熊本市立芳野小学校の東、県道101号線沿いにあるJAの選果場から山道を登ってアクセスできます。自然豊かな環境の中にひっそりと佇むこの巨石群は、訪れる者に古代の神秘を感じさせます。

この巨石群は、自然の造形美と古代の謎が交錯する場所であり、歴史や古代文化に興味のある人にとって、訪れる価値のあるスポットと言えるでしょう。

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